出産育児一時金~妊娠中の転職や退職に注意が必要な理由~

出産育児一時金とは、各健康保険組合の被保険者または被扶養者を対象に、出産時に各健康保険組合へ申請することで手当金が支給される制度です。煩雑な手続きは不要で、医療機関に願い出るだけで済ませられます。※2017年12月4日に公開

出産育児一時金の支給額と受け取る条件

出産育児一時金の支給額は、1児につき42万円です。双子など多胎児を出産した場合は、胎児数分が支給されます。出産育児一時金を受け取るための条件は、健康保険の被保険者または被扶養者が妊娠4ヵ月以上で出産することです。4ヵ月以上であれば、早産や死産、流産、経済的な理由による人工妊娠中絶であっても支給対象に該当します。

産科医療補償制度に未加入の医療機関は支給額が異なる

産科医療補償制度に加入していない医療機関などで出産した場合には、出産育児一時金の支給額は40.4万円となります。産科医療補償制度は医療機関が任意で加入する制度です。この制度に加入している医療機関は、分娩時のトラブルによって胎児に重度の脳性麻痺が残った場合などに、子供と家族の経済的負担を補償することが決められています。現在の出産育児一時金の中には、この額が含まれています。産院が産科医療補償制度に加入しているか確認をしましょう。

出産育児一時金の支給方法

出産育児一時金の支給には、「直接支払制度」と「受取代理制度」の2種類があります。 この2つの制度の違いは「申請方法」です。

  • 直接支払制度

    直接支払制度とは、被保険者または被扶養者に代わり、産院や病院が出産一時金の請求と受け取りをする制度です。特徴は、基本的な手続きを医療機関に任せられるため手間が少ないこと。各健康保険組合が支払い手続きを担ってくれるため、被保険者または被扶養者側が多額の出産費用を用意する必要がなく、費用が42万円以内におさまった場合は、必要書類を提出して差額を受け取ることも可能です。

  • 受取代理制度

    受取代理制度とは、直接支払制度を導入していない小規模の医療機関の場合、出産する産院や病院を代理人として、出産育児一時金の受け取りを産院・病院に委任する制度です。被保険者/被扶養者が、健康保険組合に申請することで、出産育児一時金が医療機関に支払われます。この支給方法が認められるのは、年間の分娩件数が100件以下であったり、正常分娩にかかる収入が5割以上であったりする医療機関が、厚生労働省に届け出をしている場合です。

出産費貸付制度

出産費貸付制度とは、出産育児一時金が支給されるまでの間、出産育児一時金の8割に相当する額を無利子で貸付ける制度です。貸付対象となるのは、医療機関などに一時的な支払いが必要となる出産予定日まで1ヵ月以内または妊娠4ヵ月以上の、健康保険の被保険者または被扶養者です。貸付を申請する場合には「出産費貸付金貸付申込書」に記入し、必要な書類等を添付して各健康保険組合へ提出します。

出産育児一時金の受給資格を失った場合

退職などによって出産育児一時金を受け取る資格を喪失した場合も、出産育児一時金を受け取れる場合があります。当てはまるのは、資格喪失日の前日までに被保険者期間が1年以上ある人が、資格喪失日から半年以内に出産したときです。なお、資格喪失後に被扶養者となった場合は、資格喪失後の出産育児一時金もしくは家族出産育児一時金のどちらかを選択する必要があります。注意が必要なのは、両方を受け取ることができない点です。

妊娠中の転職や退職に注意が必要な理由

被保険者の資格喪失後に、その被扶養者だった家族が出産したときには、家族出産育児一時金は支給されません。例えば、夫の扶養として妻が加入している場合に、夫が退職して資格喪失後に妻が出産すると、家族出産育児一時金は受け取れません。ですから、妊娠中に健康保険組合を変更する場合や、退職や転職をする場合には、気をつけましょう。

出産育児一時金と家族出産育児一時金の違い

出産する本人の加入している健康保険の場合が「出産育児一時金」で、扶養者の加入している健康保険の場合が「家族出産育児一時金」です。どちらも受給できる額は変わりません。

まとめ

  • 出産育児一時金とは、各健康保険組合の被保険者または被扶養者を対象に、出産時に各健康保険組合へ申請することで手当金が支給される制度のこと。
  • 出産育児一時金の支給方法には「直接支払制度」と「受取代理制度」の2種類がある。
  • 出産費貸付制度を申請すると、出産育児一時金の8割相当額を無利子で貸付けてもらえる。

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