事業場外のみなし労働時間制なら、残業代ゼロ?

みなし労働時間制には、「裁量労働制」のほかに「事業場外みなし労働時間制」というものがあります。主に外回りの営業マンなどに適用される制度です。これが残業代トラブルの火種になる例もありますので、正確に把握しておきましょう。

Q.事業場外のみなし労働時間制を使えば営業マンに残業代を払わなくていい?

一般的に、営業職などの従業員は社外で働く「事業場外労働」が多く、実際の労働時間を把握しにくい場合があります。このようなケースで「1日あたり●時間働いたこととみなす」のが、事業場外みなし労働時間制です。では、この制度を採用している場合、たとえば営業マンに残業代を支払わなくていいのでしょうか?

Answer 気になる答えは・・・

A.「No」です!

事業場外のみなし労働時間制を採用しているからといって、残業代が全く発生しないわけではありません。事業場外のみなし労働時間制は、従業員が労働時間の全部または一部について事業場外での業務に従事した場合、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間だけ労働したものとみなす制度です。実際に働いた時間にかかわらず、労働時間は所定労働時間であったものとして扱われます。※2017年6月19日に更新

原則として所定労働時間がみなし労働時間になる

たとえば、1日の所定労働時間が8時間の会社では、実際は12時間働いていたとしても、4時間しか働かなかったとしても、その日の労働時間は8時間として扱われます。

ただし、所定労働時間が法定労働時間を超えている場合は、法定労働時間(1日8時間)を超える分については残業代が発生します。所定労働時間が10時間の会社なら、2時間分については残業代を支払う必要があるのです。

問題なのは「業務を遂行するために通常必要となる労働時間」

明らかに所定労働時間を超える労働が必要な場合は、所定労働時間ではなく、その業務を遂行するために通常必要となる労働時間が、みなし労働時間となることがあります。

外回りの営業マンが業務を遂行するために通常10時間が必要な場合は、所定労働時間が8時間であったとしても、事業場外のみなし労働時間制によるみなし労働時間は、10時間となります。この場合、所定労働時間を超える2時間分については、残業代が発生するのです。

事業場外のみなし労働時間制が適用にならない場合

事業場外のみなし労働時間制を適用するには、事業場外で業務に従事しているだけでなく「会社の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間の算定が困難な場合」という条件が必要です。外回りだから労働時間の計算が困難であるとは限らず、以下のような場合は、事業場外のみなし労働時間制が適用になりません。

  • 何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をするものがいる場合
  • 携帯電話やメールなどによって随時上司の指示を受けながら事業場外で労働している場合
  • 事業場において、訪問先、帰社時刻など、当日の業務の具体的指示を受けたのち、事業場外で指示通りに業務に従事し、その後、事業場に戻る場合

まとめ

法律の趣旨は、労働時間を計算するのが難しい職種の労働時間を適切に計算することです。しかし実際は、「あらかじめ決めた額以上の残業代は払いたくない」というのが会社の本音だと思います。「外出が多い業務だし、残業代を削減できるなら…。」と考えて事業場外のみなし労働時間制を導入すると、後々トラブルになることも。まずは、この制度の要件を満たすかどうかをチェックしましょう。

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