ストレスチェックの概要と実施方法

ストレスチェック

2015年から労働安全衛生法に基づいた、従業員の定期的なストレスチェックの実施が企業に対して義務化されました。企業にとって、従業員のメンタルヘルスの不調によりもたらされる損失は計り知れません。従業員の精神的な健康を守るのは、今や会社の大きな役割ともいえます。しかし、ストレスチェックから得られた結果を、職場環境の改善へと反映させていかなければ実施する意味がありません。今回はストレスチェックの概要と実施の流れについて解説していきます。※2018年8月27日に公開

ストレスチェック制度とは

ストレスチェックは“労働者の心理的な負担の程度を把握するための、医師、保健師等による検査(ストレスチェック)の実施”を義務付けるもので、2015年に制定されました。50人以上の従業員がいる事業所では必ず実施しなければならず、50人未満の事業場については努力義務とされています。

ストレスチェックの目的は、メンタルヘルスの不調の早期発見と職場復帰をサポートすることです。これを続けていけば、従業員ひとりひとりがセルフケアによりストレスマネジメントができるようなり、職場環境が改善され、従業員の精神的な負担が軽減されていくでしょう。

ストレスチェックの実施

精神障害の労災認定件数が平成21年から24年まで3年連続で過去最高の更新を続けました。また、労働者の6割が仕事へのストレスを訴えているという状態が、ストレスチェックへと繋がりました。ストレスチェックを実施していくにあたり、必要な要件を見ておきましょう。

  • 対象者

    厚生労働省が「常時使用する労働者」と定める人が対象者となります。具体的には、契約期間が1年以上または週の労働時間が、通常の労働者の4分の3以上ある従業員はすべて対象となります。正社員はもちろん、パートやアルバイトも条件を満たしていれば対象者です。
  • 実施時期

    1年に1回とされ、特に月などの規定はありません。
  • 実施者

    医師、保健師、看護師、精神保健福祉士など資格保有者が担当し、ストレスチェックの企画、結果の評価をします。
  • 実施事務従事者

    実施者の補助業務を行います。衛生管理者、産業保健スタッフ、人事担当者のほか、外部委託でも構いません。
  • 調査方法

    労働安全衛生規則で定められる項目に基づいて作成された調査票を使用します。
  • 高ストレス者の選定

    厚生労働省の指針では、調査票の結果に基づき点数と付帯条件による評価法が提示されています。しかし、企業により労働環境が異なり、業務の違いもあるため、具体的な選定条件は変更が可能です。

ストレスチェック実施の流れ

ストレスチェックは、次のような流れで実施されます。

  1. 方針の策定
  2. 調査審議
  3. 従業員への説明
  4. ストレスチェックの実施
  5. 結果の分析・報告
  6. セルフケア・窓口対応
  7. 面談など

ストレスチェックに先立ち、調査方針や日時、実施手順などの方針を策定し、書面、端末の利用など、調査票の媒体を決定します。調査票の作成後は、調査内容の精査、高ストレス者の判定基準などについて審議します。

ストレスチェックの実施にあたっては従業員に実施の意義や具体的な手順について内容を説明し、了解を得ておく必要があります。また、ストレスチェックの実施後は、あらかじめ決められた方法で集団の分析結果を公表し、個別の結果を本人に通知します。

さらに、結果に応じてセルフケアの方法を案内する窓口を設置し、高ストレス者については、医師による面談を実施し、その後の対応を図ります。

ストレスチェック実施時の注意点

ストレスチェックの実施では、高ストレス選定基準の策定や集計・分析の方法から記録の保存方法まで、細部にわたる設計が必要です。高ストレス者への対応を明確化し、企業としてどのようにサポートできるのか、結果内容を段階別に規定するなどして具体策を決めておきます。

ストレスチェックの実施やその結果については、プライバシーの保護を徹底しなければなりません。ストレスチェックの結果により、解雇や格下げといった従業員の不利益となる扱いは禁止されています。また、労働者自身については、ストレスチェックを受検する義務はありません。さらにはストレスチェックを受けない権利も認められていますが、有用性を十分に周知し、可能な限りの参加を促すことをおすすめします。

ストレスチェックで活力ある企業に

従業員のメンタルヘルスは、企業活動に直結します。ストレスフルな従業員ばかりを抱えていては、業務効率が低下し、会社の活気もなくなるでしょう。働いている以上は、完全なストレスからの解放は困難ですが、従業員のストレスの状態を把握し、原因の究明に努めていけば深刻な問題は回避できるはずです。ストレスチェックを義務ではなく、業務の一環として積極的に取り組む姿勢が、業績向上と活力ある会社を生み出すでしょう。

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