月の途中で退職した従業員の社会保険料の控除

退職届

今回は、退職した従業員の社会保険料控除について。社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)は、会社と従業員が折半で支払います。毎月、従業員に支払う給与から社会保険料を控除し、会社負担分の社会保険料と合わせて納付します。では、月の途中で従業員が退職した場合、給与からその月の保険料を控除するのでしょうか。※2020年10月11日に更新

社会保険料は日割り計算しない

まず、社会保険料は1ヶ月単位で計算するもので、日割り計算はしません。月の途中で入社した場合、その月は社会保険に加入していることになり、1ヶ月分の保険料がかかります。一方で、月の途中で退職した場合、その月は保険料が発生しません。つまり、給与から控除する必要はないということです。

退職日と「社会保険料の控除」

覚え方は以下のとおりです。

  • 退職日が末日以外なら、その月の社会保険料はかからない(給与から徴収しない)
  • 退職日が末日なら、その月の社会保険料は発生する(給与から徴収する)

退職日と資格喪失日が違う!?

なぜ、退職日が月末とそれ以外で、社会保険の取り扱いが異なるのでしょうか。社会保険では「退職日=資格喪失日」ではなく、退職日の翌日が資格喪失日になります。そして「資格喪失日が属する月の前月」までが被保険者期間となり、その期間に対して保険料がかかります。以下の具体例を参考に、ルールを押さえたうえで社会保険料を控除しましょう。

退職日が4/15の場合

資格喪失日は4/16、資格喪失日が属する月の前月は3月なので、3月までが被保険者期間となり、3月分まで社会保険料がかかる。

退職日が4/30の場合

資格喪失日は5/1、資格喪失日が属する月の前月は4月なので、4月までが被保険者期間となり、4月分まで社会保険料がかかる。従って、4月の給与から、3月分と4月分の2ヶ月分の社会保険料を徴収する。

月末の退職にはデメリットがある?

従業員が転職することになったとします。そのときの退職日が月末だと、事業主の立場では、社会保険料負担の観点でデメリットがあります。月末に辞めると資格喪失日が翌月になり、退職した月まで社会保険料が発生するからです(損していると感じる方もいるかもしれません)。一方、給与計算が末締めの場合は、半端なタイミングでの退職だと日割り計算などの手間がかかる場合も。悩ましいところですね。

社会保険の資格喪失の手続き

従業員が退職したら、会社の担当者は年金事務所に行って、社会保険の資格喪失手続きをしなければなりません。社会保険の資格喪失手続き期限は、従業員が退職した日から5日以内です。手続きに必要な書類は、「健康保険厚生年金保険被保険者資格喪失届」と「健康保険証」。退職者に被扶養者がいる場合は、被扶養者の健康保険証も必要です。健康保険証を提出できない場合は別の届けが必要になりますので、退職する従業員には確実に健康保険証の引き渡しの旨を伝えておきましょう。

途中退職と社会保険料のまとめ

月の途中で従業員が退職した場合、その月の給与からは、退職月分の社会保険料は控除しません。「従業員が月の途中で退職したのに、退職月分の社会保険料を控除してしまった・・・」というのは給与計算でよくあるミス。給与を支払った後でミスに気付いた場合は、再計算をして退職者に差額を返金することになりますので、注意しましょう。

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