ベーシックインカムとは、政府が国民の生活を最低限保障するために、年齢や性別などを一切考慮せず、毎月すべての人に無条件で一定の所得を支給するという考え方です。いわゆる最低限所得保障の一種になります。※2018年5月9日に公開
ベーシックインカムは、18世紀末に活動していたイギリス人社会思想家トマス・ペインによって提唱されたのが始まりです。社会保障制度が複雑化しているヨーロッパ諸国では、ベーシックインカムが試験的に導入されているケースもあります。ただし、現時点では国家レベルで本格的な導入に踏み切っている事例はありません。
現在の日本では、社会保障制度として65歳以上に支給される「年金」や失業者に支給される「失業保険」、生活困難者に支給される「生活保護」など、規定の条件を満たす場合にのみ適用される制度があります。つまり、健常な状態で労働が可能な人は、基本的に給付の対象にはなりません。
ベーシックインカムはこうした社会保障とは大きく異なり、失業していなくても、生活に困っていなくても、無条件で全国民に一律の現金を給付する制度です。実現には財源に対する不安などが大きく、いまだ国家レベルで導入している前例がないように、日本でも本格的な導入は難しいとされています。
ベーシックインカムの導入には、「貧困問題の解消」と「長時間労働の削減」といったメリットがあると考えられています。
無条件で現金が支給されるため、貧困にあえぐ人々の助けとなり、彼らが貧困から抜け出すきっかけになる可能性があります。また、貧困問題を原因とする窃盗などの犯罪を未然に防ぐことにもつながります。
ベーシックインカム制度の導入は、社会問題となっている違法な長時間労働の削減に少なからず貢献すると考えられます。最低限生活していけるだけの資金をベーシックインカムによって確保できれば、無理をしてまで働く必要がなくなるためです。これによって過労死や自殺者の減少も見込まれます。
ベーシックインカムを導入するにあたっては、「労働者のモチベーションが下がる」「どのように財源を確保するか」という課題があります。
ベーシックインカムが導入されると、たとえ働かずとも最低限の収入は確保できるという状況になるため、労働者のモチベーション低下が起こりやすくなります。一方で、賃金は低くとも、やりがいのある仕事を選択する人が増加し、人気の集まらない職種は人材不足に陥るリスクも否定できません。
ベーシックインカムとして支給する金額は、いくらが適切なのでしょうか。たとえば、生活保護の支給額と同程度なら問題ないという考え方もできるかもしれません。また、最低限の暮らしを送れる生活費は、個人の価値観、家族構成など様々な要因で変わります。国民みんなが納得する額を計算するというのも一苦労です。
ベーシックインカム導入実現の大きな障壁となるのが、財源の確保です。国民一人ひとりに最低限の給付を行うためには膨大な資金が必要となり、その過程で富裕層の税負担が重くなることが予測されます。またベーシックインカムを導入すれば、財政的にその他の社会保障制度は廃止になる可能性が高く、結果的に本末転倒となるかもしれません。
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ベーシックインカムとは、政府が国民の生活を最低限保障するために、年齢や性別などを一切考慮せず、毎月すべての人に無条件で一定の所得を支給するという考え方です。いわゆる最低限所得保障の一種になります。※2018年5月9日に公開
ベーシックインカムの3つのポイント
ベーシックインカムの起源は18世紀末
ベーシックインカムは、18世紀末に活動していたイギリス人社会思想家トマス・ペインによって提唱されたのが始まりです。社会保障制度が複雑化しているヨーロッパ諸国では、ベーシックインカムが試験的に導入されているケースもあります。ただし、現時点では国家レベルで本格的な導入に踏み切っている事例はありません。
ベーシックインカムは社会保障ではない
現在の日本では、社会保障制度として65歳以上に支給される「年金」や失業者に支給される「失業保険」、生活困難者に支給される「生活保護」など、規定の条件を満たす場合にのみ適用される制度があります。つまり、健常な状態で労働が可能な人は、基本的に給付の対象にはなりません。
ベーシックインカムはこうした社会保障とは大きく異なり、失業していなくても、生活に困っていなくても、無条件で全国民に一律の現金を給付する制度です。実現には財源に対する不安などが大きく、いまだ国家レベルで導入している前例がないように、日本でも本格的な導入は難しいとされています。
ベーシックインカム導入のメリット
ベーシックインカムの導入には、「貧困問題の解消」と「長時間労働の削減」といったメリットがあると考えられています。
貧困問題の解消
無条件で現金が支給されるため、貧困にあえぐ人々の助けとなり、彼らが貧困から抜け出すきっかけになる可能性があります。また、貧困問題を原因とする窃盗などの犯罪を未然に防ぐことにもつながります。
長時間労働の削減
ベーシックインカム制度の導入は、社会問題となっている違法な長時間労働の削減に少なからず貢献すると考えられます。最低限生活していけるだけの資金をベーシックインカムによって確保できれば、無理をしてまで働く必要がなくなるためです。これによって過労死や自殺者の減少も見込まれます。
ベーシックインカム導入の懸念点
ベーシックインカムを導入するにあたっては、「労働者のモチベーションが下がる」「どのように財源を確保するか」という課題があります。
労働者のモチベーション低下
ベーシックインカムが導入されると、たとえ働かずとも最低限の収入は確保できるという状況になるため、労働者のモチベーション低下が起こりやすくなります。一方で、賃金は低くとも、やりがいのある仕事を選択する人が増加し、人気の集まらない職種は人材不足に陥るリスクも否定できません。
適切な金額の算出
ベーシックインカムとして支給する金額は、いくらが適切なのでしょうか。たとえば、生活保護の支給額と同程度なら問題ないという考え方もできるかもしれません。また、最低限の暮らしを送れる生活費は、個人の価値観、家族構成など様々な要因で変わります。国民みんなが納得する額を計算するというのも一苦労です。
財源確保
ベーシックインカム導入実現の大きな障壁となるのが、財源の確保です。国民一人ひとりに最低限の給付を行うためには膨大な資金が必要となり、その過程で富裕層の税負担が重くなることが予測されます。またベーシックインカムを導入すれば、財政的にその他の社会保障制度は廃止になる可能性が高く、結果的に本末転倒となるかもしれません。