「退職所得の受給に関する申告書」で節税できる?

今回は、「退職金と源泉徴収」について。退職金にも様々な種類がありますが、一般的に退職金と言ったら「退職一時金」のことを指します。これは、文字どおり退職時に支払われる一時金のことで、法律で定められたものではなく、各企業の退職金規程によって金額が決められます。

Q.「退職所得の受給に関する申告書」の提出の有無で源泉徴収の金額が変わる?

意外と知らない人が多いのが、「退職金にも税金がかかる」ということ。退職金も所得に該当するため所得税の対象とされており、源泉徴収されます。また、退職金にまつわる書類に、「退職所得の受給に関する申告書」があります。今回のクイズは、「退職所得の受給に関する申告書」を提出するか否かで、退職金の源泉徴収の金額が変わるのか。

Answer 気になる答えは・・・

A.「Yes」です!

退職金は確かに所得税が課せられますが、長年の勤務の功労に報いるものであり、従業員の老後の生活の糧となるものです。この趣旨から、所得税の負担が重くなり過ぎないように軽減措置が設けられています。従業員がこの軽減措置を受けるために必要になるのが「退職所得の受給に関する申告書」です。「退職所得の受給に関する申告書」を提出すれば軽減措置を受けられ、提出しなければ軽減措置を受けられません。なお、この申告書の提出期限は、退職金の支払いを受ける日の前日までとなっています。※2017年7月3日に更新

退職金の源泉所得税の計算方法(申告書を提出する場合)

「退職所得の受給に関する申告書」を提出する場合、まず、「退職所得(課税退職所得金額)」を計算します。退職所得は、退職金の金額から勤続年数に基づいて計算した「退職所得控除額」を引いて、1/2をかけて計算します(1000円未満は切り捨て)。

退職所得控除額の計算方法

  • 勤続年数が20年以下の場合:40万円×勤続年数

    ※最低額は80万円。勤続年数が1年に満たない月数は1年に切り上げ。

  • 勤続年数が20年超の場合:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

    ※勤続年数が1年に満たない月数は1年に切り上げ。

退職金の源泉徴収税額の求め方

退職所得(課税退職所得金額)を「国税庁:退職所得の源泉徴収税額の速算表」に当てはめて、源泉徴収税額を計算します

具体例(勤続年数が11年、退職金が800万円の場合)

  • 退職所得控除額:40万円×11年=440万円
  • 退職所得(課税退職所得金額):(800万円-440万円)×1/2=180万円
  • 源泉徴収税額:(180万円×5%)×102.1%=91,890円
  • 退職金(手取り):800万円-91,890円=7,908,110円

退職金の源泉所得税の計算方法(申告書を提出しない場合など)

「退職所得の受給に関する申告書」を提出しない場合などは、「退職金の金額×20%」を源泉徴収します。上と同じ例(退職金が800万円)で計算すると、以下のとおりになります。

  • 源泉徴収税額:800万円×20%=160万円
  • 退職金(手取り):800万円-160万円=640万円

確定申告の必要は?

「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合は、会社が所得税額を計算し、退職金支払いの際に正規の所得税額が源泉徴収されるため、原則として確定申告は必要ありません。「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合、退職した従業員は確定申告をすることで正しい税率で再計算してもらえます。提出し忘れたら確定申告しましょう。

まとめ

退職金も所得であるため、所得税が課されます。そのときに源泉徴収される金額は「退職所得の受給に関する申告書」の提出の有無で変わります。しかも、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、確定申告が不要です。なるべく、忘れずに提出するようにしましょう。

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