年次有給休暇の計画的付与制度

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「日本人は働きすぎ」「日本人の労働時間は先進国の中でも長め」「うちの会社で有給休暇を消化するのは欠勤したときだけ」という話を聞いたことがある方もいるでしょう。厚生労働省によれば、年次有給休暇の取得率は、平均で約50%程度だそうです。つまり、付与された有給の半分ほどが消化されていないということになります。労働者のこういった問題を解決するために、労働基準法では、年次有給休暇の計画的付与制度が設けられています。※2020年10月7日に更新

計画的に付与できる日数には制限がある

計画的に付与できる年次有給休暇の日数は、「付与された年次有給休暇の日数のうち5日を超えた部分」です。つまり「5日間は、従業員に自由に取得させなさい」ということになります。たとえば、10日の有給を付与された従業員であれば5日(10ー5)、11日の有給が付与されたならば6日(11ー5)という上限があります。なぜなら、計画外に、従業員が病欠などの個人的な理由で有給を取得する必要性も考えられるためです。

計画的付与制度の活用方法

この制度の活用方法は、3つに分かれています。

1.会社全体または事業場全体で一斉に付与

全従業員に、同じ日に有給を消化させる方法で、休業日を増やして全員が休むということになります。制度設計も有給の管理も比較的に楽なため、計画的付与制度の導入方法としては、最も手軽かもしれません。ただし、閑散期に一斉付与したり、顧客に対して事前に事情を説明するといった配慮が求められます。

2.班やグループ別に交替で付与

定休日を増やすことはできないものの個人別に付与する手間をかけたくない場合に、おすすめの方法です。たとえば、営業部全体ではなく、課やチームといった単位で、年次有給休暇を計画的に付与します。

3.個人別に付与

従業員個々人が、たとえば記念日などをもとに年次有給休暇付与計画表を作り、そのとおりに有給を消化していく方法です。従業員が好きなときに休めるというメリットがあるものの、計画表を作ったり、計画どおりに消化していくための進捗を管理したりといった手間がかかります。もし、複数の従業員が同じ日に休むべく計画表を作ったときに、時季を変更せざるをえない可能性も。その場合は、「1」や「2」などの方法で、一斉に有給を付与するという方法も考えられるかもしれません。

具体的な付与の方法

では、具体的にいつ頃に付与すると良いのでしょうか。厚生労働省では、以下のようなケースを想定しているようです。

盆暮れの狭間に付与して大型連休にする

日本では、お盆(8月中旬)や、年の暮れ(年末年始)に休暇を設けている企業が多いといわれています。そこで、そういった休暇の前後の所定休日との間に付与して、大型連休にするという考え方です。前述の活用方法でいえば、会社全体や事業場全体、または班やグループといった単位で計画的に付与する際に、この考え方で計画的に付与することが考えられます。

ブリッジホリデーとして連休にする

「なんで、火曜日が祝日なのかなあ。月曜日だったら良かったのに。」と思ったことがある方も多いでしょう。暦の関係で、土日などと休日が繋がらない場合があります。そういった時に、前のケースで言えば月曜日に有給を付与して連休にするという考え方です。前述の「1」と同様に、比較的に計画を立てやすくなります。

閑散期に休暇取得を促進する

業界や業態によっては、1年の間に定期的に閑散期(忙しくない、言わば暇なとき)が訪れる場合があります。そういった時期に、計画的付与日を設定して、休暇の取得を促します。休業日は増やせないものの、一部の従業員が一斉に休んでも問題ない場合に、この方法が採用されます。

アニバーサリー休暇制度を設ける

上記「1」~「3」とは明らかに異なる考え方が採用されています。それは、「従業員個人別に付与する」ための方法だということです。この仕組みでは、従業員個人の記念日を「アニバーサリー休暇」とし、その日を計画的付与日として設けます。記念日の代表例は、従業員本人や家族の誕生日、結婚記念日などです。こういった記念日は、1年の間で日が決まっているため、有給取得の計画を立てやすくなります。

導入のための手続き

年次有給休暇の計画的付与制度を導入するには、就業規則で定めること、労使協定を締結することが必要です。と言われると、なんだかとても面倒な手続きが待っている気がしてなりませんが、安心してください。就業規則や労使協定のモデルケースを、厚生労働省が公開しています。参考:有給休暇ハンドブック|厚生労働省

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