「早出出勤したので残業を申請します」と社員から言われたら~始業時間の前も労働時間なのか~

歩くビジネスマン

企業側も従業員のワーク・ライフ・バランスを意識するようになり、朝型勤務(早朝出社)を推奨する会社が増えています。朝型勤務の場合、従業員は通常の始業時刻より早い時間に出社して仕事を始めることになります。たとえば、始業時間が9時の会社で従業員が6時に出社したとします。この場合、6時~9時の3時間について残業代が発生することがあるのでしょうか。※2020年10月7日更新

残業=終業後の労働ではない

「残業」と言うと、一般的に終業時間後に会社に残する「居残り残業」をイメージする方が大半だと思います。しかし、始業時間前も終業時間後と同じように残業代が発生するケースがあるのです。もちろん、どんな場合でも残業代が発生するわけではなく業務上の必要性があったのかについて個別具体的に検討していく必要があります。

朝型勤務に残業代が発生する条件

朝型勤務(早朝出社)に残業代が発生するかどうかは、始業時刻前に働いた時間が労働基準法上の「労働時間」と言えるかどうかがポイントになってきます。労働時間とは、従業員が使用者の指揮命令下に置かれている時間のこと。使用者の指揮命令下に置かれていると言えるためには、会社から始業時間前に仕事をすることを命じられていること、もしくは始業時間前の仕事を余儀なくされたことが必要です。朝型勤務の時間が、従業員が使用者の指揮命令下に置かれている時間であると評価できる場合は、その時間は労働時間となり、残業代が発生します。逆にこの要件を満たしていなければ、従業員は単に自分の意思で朝早く出社して作業していただけになり労働時間とはなりません。

上司から業務命令があった場合

上司から、「朝早く来て会議の準備をしておくように」などと言われた場合は、残業代が発生します。上司からの業務命令がある場合は、始業時間前でも労働時間にあたるのは明らかです。

研修や勉強会に参加した場合

研修や勉強会が強制参加の場合、もしくは参加しないことで評価において不利益を被る場合は労働時間にあたり、残業代が発生します。逆に、以下のような研修は労働時間に該当せず、残業代も発生しません。

  • 会社からの強制ではなく、社員が自主的に集まって行う研修
  • 出欠確認を行わず、あくまで参加した人のみで行う研修
  • 直接、業務に関わる内容ではなく、欠席しても業務に影響がない研修など

とはいえ、平成13年の労災認定の新基準以降「職場にいる = 業務中である」とみなされやすい傾向にあります。残業代を巡るトラブルを避けるためには「研修時間 = 労働時間」と考えておいたほうが無難でしょう。

通勤ラッシュを避ける場合

通勤ラッシュを避けるための朝型勤務は使用者の指揮命令下に置かれているとは言えず、通勤時間は労働時間ではないため残業代も発生しません。

上司の出勤が朝早い場合

上司が朝早く出勤しているため、気を遣って始業時間より早く出勤している場合などはこの時間は労働時間とは認められず、残業代も発生しません。

朝型勤務が「朝型残業」にならないように

本来、朝型勤務は、通常より早めに出社して仕事をスタートすることで業務を効率化でき残業が減り、夕方以降の時間を有効に活用できるというメリットがあります。しかし、なかには「昨日やり残した仕事」を片付けるために朝早く出社している従業員がいる場合もあります。朝型勤務を導入しても、そのせいで従業員が「朝型のサービス残業」をすることになってしまっては本末転倒です。導入に際しては、朝型勤務が「朝方残業」にならないような準備・配慮が求められます。

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