今回は「社会保険の被扶養者と年収」について。「年収130万円の壁」というフレーズを聞いたことがある方も、多いのではないでしょうか。そもそも、社会保険の被扶養者の年収は、130万円未満でなければなりません。この条件に該当してはじめて親や配偶者の扶養に入ることができ、自分で健康保険料・年金保険料などの社会保険料を支払う必要がなくなるのです。※2020年10月11日に更新
社会保険の被扶養者になるための条件の1つである「年収130万円未満」というのは、過去の年収とは無関係です。被扶養者になるには、被扶養者として認定される日以降、将来の給与、不動産収入や年金収入なども含めた、以下の条件を両方とも満たす必要があります。
なお、給与所得者の場合は「月額108,333円以下」で、雇用保険等の受給者の場合は「日額3,611円以下」という条件も満たす必要があります。また、給与所得者の場合、通勤手当や交通費も収入に含まれますので、注意が必要です。
※同居の場合:被保険者(扶養者)の収入の半分未満
※別居の場合:被保険者(扶養者)からの仕送り額未満
健康保険の被扶養者になるためには、以下の2つの条件を満たしている必要があります。
直系尊属とは、父母や祖父母など、自分より上の世代のうち、自分と直接つながっている系統の親族のことです。そのため、叔父や叔母、配偶者の父母や祖父母は含まれません。また、配偶者は内縁でも、子どもは養子でもかまいません。ただし、直系尊属や配偶者、子、孫、弟妹以外の家族の場合は、従業員本人と同居している必要があります。
金額の判断基準・計算方法は上述のとおり。被保険者となる従業員と同居していることが前提です。なお、同居している場合、収入が被保険者(扶養者)の半分以上であっても、その世帯の生活状況を総合的に判断して、被保険者本人がその世帯で中心的役割を果たしている場合は、条件を満たしていると判断される場合もあります。
給与計算担当者が扶養で注意すべきなのは、社会保険と所得税とでは扶養家族の基準が異なるということ。所得税法上の扶養家族の条件は、以下のとおりです。
特に、「合計所得金額が38万円以下」の条件はしっかり覚えておきましょう。社会保険では将来の見込み収入額で「収入」を判断しますが、所得税法で言う「所得」は、1~12月の年単位の実績で計算します。年末に締めて38万円以下だったかどうかで判断するのです。なお、所得税において扶養家族として認められた場合は、納税者本人が、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除を受けられることになります。
所得税は言うまでもなく所得に対して課せられる税金ですが、ここで言う「所得」とは「収入」のことではありません。「手取り」とも異なりますので、以下の計算式を参考にしてください。
所得 = 収入(1~12月の給与年収) - 必要経費(給与所得控除)
給与所得控除の金額は年収によって異なります。給与所得控除の金額が55万円を下回る場合は、一律で55万円が控除されます。詳しくは、国税庁のホームページを参考にしてください(税制改正により、令和2年から、給与所得控除額の最低額が65万円から55万円に引き下げられました)。
今回は、社会保険の扶養の「130万円の壁」について紹介しました。この130万円は、将来の見込み年収で判断されます。一方、所得税の扶養か否かは、1月から12月の所得(実績)で決まります。同じ扶養でも基準が異なりますので、正確に押さえておきましょう。
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今回は「社会保険の被扶養者と年収」について。「年収130万円の壁」というフレーズを聞いたことがある方も、多いのではないでしょうか。そもそも、社会保険の被扶養者の年収は、130万円未満でなければなりません。この条件に該当してはじめて親や配偶者の扶養に入ることができ、自分で健康保険料・年金保険料などの社会保険料を支払う必要がなくなるのです。※2020年10月11日に更新
年収130万円は、過去の年収とは無関係
社会保険の被扶養者になるための条件の1つである「年収130万円未満」というのは、過去の年収とは無関係です。被扶養者になるには、被扶養者として認定される日以降、将来の給与、不動産収入や年金収入なども含めた、以下の条件を両方とも満たす必要があります。
社会保険の被扶養者になる条件
なお、給与所得者の場合は「月額108,333円以下」で、雇用保険等の受給者の場合は「日額3,611円以下」という条件も満たす必要があります。また、給与所得者の場合、通勤手当や交通費も収入に含まれますので、注意が必要です。
※同居の場合:被保険者(扶養者)の収入の半分未満
※別居の場合:被保険者(扶養者)からの仕送り額未満
健康保険の被扶養者となる条件
健康保険の被扶養者になるためには、以下の2つの条件を満たしている必要があります。
直系尊属、配偶者、子、孫、兄弟姉妹と3親等内の親族
直系尊属とは、父母や祖父母など、自分より上の世代のうち、自分と直接つながっている系統の親族のことです。そのため、叔父や叔母、配偶者の父母や祖父母は含まれません。また、配偶者は内縁でも、子どもは養子でもかまいません。ただし、直系尊属や配偶者、子、孫、弟妹以外の家族の場合は、従業員本人と同居している必要があります。
年間収入の見込みが130万円未満(60歳以上や障害者の場合は180万円未満)であり、被保険者の収入の2分の1未満であること
金額の判断基準・計算方法は上述のとおり。被保険者となる従業員と同居していることが前提です。なお、同居している場合、収入が被保険者(扶養者)の半分以上であっても、その世帯の生活状況を総合的に判断して、被保険者本人がその世帯で中心的役割を果たしている場合は、条件を満たしていると判断される場合もあります。
扶養の基準」は所得税と異なる
給与計算担当者が扶養で注意すべきなのは、社会保険と所得税とでは扶養家族の基準が異なるということ。所得税法上の扶養家族の条件は、以下のとおりです。
特に、「合計所得金額が38万円以下」の条件はしっかり覚えておきましょう。社会保険では将来の見込み収入額で「収入」を判断しますが、所得税法で言う「所得」は、1~12月の年単位の実績で計算します。年末に締めて38万円以下だったかどうかで判断するのです。なお、所得税において扶養家族として認められた場合は、納税者本人が、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除を受けられることになります。
所得」と「収入」の違い
所得税は言うまでもなく所得に対して課せられる税金ですが、ここで言う「所得」とは「収入」のことではありません。「手取り」とも異なりますので、以下の計算式を参考にしてください。
所得の計算式
所得 = 収入(1~12月の給与年収) - 必要経費(給与所得控除)
給与所得控除の金額
給与所得控除の金額は年収によって異なります。給与所得控除の金額が55万円を下回る場合は、一律で55万円が控除されます。詳しくは、国税庁のホームページを参考にしてください(税制改正により、令和2年から、給与所得控除額の最低額が65万円から55万円に引き下げられました)。
所得が48万円以下なら課税されない
所得税を計算するための「課税所得」は、上記の所得から「粗所得控除」を差し引いて計算します。その所得控除の中で誰でも受けられるのが「基礎控除」の「48万円」。つまり、所得が48万円以下なら課税所得が0円になり所得税はかからなくなります(税制改正により、令和2年度から、基礎控除の金額が38万円から48万円に引き上げられました)。年収130万円の壁」の条件まとめ
今回は、社会保険の扶養の「130万円の壁」について紹介しました。この130万円は、将来の見込み年収で判断されます。一方、所得税の扶養か否かは、1月から12月の所得(実績)で決まります。同じ扶養でも基準が異なりますので、正確に押さえておきましょう。
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