懲戒解雇なら解雇予告(手当)は不要?

今回は、懲戒解雇と解雇予告について。たとえば、会社のお金を着服した場合や機密情報を意図的に流出させた場合など、重大な違法行為を犯した従業員には「懲戒解雇」という処分が待っています。「うちには懲戒解雇になるような社員はいない」と思われるかもしれませんが、最近多いのは従業員が会社に来なくなるパターン。無断欠勤が続いて懲戒解雇になるケースも増えています。

Q.懲戒解雇なら解雇予告・解雇予告手当は不要?

従業員を解雇するときは、原則として解雇する旨を従業員に通知(解雇予告)するか、従業員に30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。しかし、もっとも重い懲戒処分である懲戒解雇の場合は従業員に非があるのだから、会社は解雇予告も解雇予告手当の支払いも必要ないと認識している方は多くいらっしゃいます。実際のところ、懲戒解雇なら解雇予告・解雇予告手当は必要ないのでしょうか?

気になる答えは・・・

A.「No」です!

従業員を解雇する場合は、それがたとえ懲戒解雇であったとしても、後述する「解雇予告除外認定」を受けない限り、解雇予告、または解雇予告手当の支払いが必要です。※2017年6月12日に更新

解雇についての基礎知識

労働基準法では、従業員を解雇するときは、原則として解雇日の30日前までに、解雇することを従業員に通知(解雇予告)しなければならないと定めています。もし、30日前までに解雇予告ができない場合は、従業員に30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。突然クビにすると従業員の生活に支障が生じるため、会社が30日分の時間的な猶予、もしくは金銭的な猶予を与えることにしましょうという趣旨です。これらは懲戒解雇であっても適用されるということは、しっかり押さえておきましょう。

◎解雇予告手当にかかる所得税・住民税

ちなみに、解雇予告手当にも所得税・住民税がかかります。税法上、解雇予告手当は退職所得となるため、退職金と同じ扱いになるのです。従業員に解雇予告手当を支払う場合は、解雇予告手当から所得税・住民税を控除するのを忘れないようにしましょう。

解雇予告・解雇予告手当が不要になる方法がある!?

解雇予告・解雇予告手当は労働者を保護するものですが、従業員の責に帰すべき事由に基づく解雇の場合は事情が変わってきます。会社は一定の手続きを行うことで、解雇予告をすることもなく、解雇予告手当を支払うこともなく即時に解雇できるようになります。

解雇予告、もしくは解雇予告手当の支払いを省略するためには、労働基準監督署の「解雇予告除外認定」を受ける必要があります。解雇予告除外認定を受けずに即時解雇をしてしまうと、労働基準法違反となりますのでご注意ください。

なお、解雇予告除外認定は事前に得ておくのが原則ですが、即時解雇したときに従業員の責に帰すべき事実があるならば、認定を得るのが後日になっても有効です。

◎労働者の責に帰すべき事由とは?

解雇予告除外認定における「労働者の責に帰すべき事由」とは、労働者を保護する必要がないほど重大、または悪質な行為を指します。各会社が定めている懲戒解雇事由に該当するかどうかは問いません。行政通達では、具体的に以下のようなケースを例示しています。

  • 職場内での窃盗、横領、傷害など、刑法犯に該当する行為をしたとき
  • 賭博、風紀紊乱などにより職場の規律を乱し、他の社員に悪影響を及ぼしたとき
  • 採用のときに、重要な要素となる経歴を詐称したとき
  • 他へ転職したとき
  • 2週間以上の無断欠勤をして、出勤の督促に応じないとき
  • 出勤不良で、数回にわたって注意を受けても改めないとき
  • 会社の名誉や信用を著しく失墜させる行為をしたとき など

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