給与支払報告書は、給与支払者(経営者・事業主・法人など)が給与所得者である従業員に対して支給した給与金額を従業員の居住する自治体に報告する書類です。本記事では、給与支払報告書の必要性や作成方法、提出までの流れなどを中心に詳しく解説します。※2022年7月5日に更新
給与支払報告書とは、地方自治体が給与支払者に提出を義務付けている書類です。地方税法第317条の6によって規定されています。給与支払者(経営者・事業主・法人など)は、前年中に支払った給与や賞与といった金額を、従業員が住む市町村別に報告しなければなりません。給与支払報告書のポイントは下記の通りです。
給与支払報告書は、各自治体が個人の住民税額を決定する際に必要な書類です。提出義務のある事業主は、期日までに必ず提出すべき市町村に漏れなく提出してください。
参考:地方税法「第317条の6」
給与支払報告書の提出が必要となる対象者は、以下の条件に該当します。
給与支払報告書は、給与額の多少を問いません。給与支払者は、給与所得者全員について、給与支払報告書の作成が必要です。
給与支払報告書の構成は「個人別明細書」と「総括表」の2種類です。下記より詳しく解説します。
個人別明細書は、自社に勤務する給与所得者である人数分を作成しなければなりません。給与支払いを受けた従業員などの個人情報を記載します。
個人別明細書には、源泉徴収票とほぼ同じ内容が記載されます。
総括表とは、個人別明細書をまとめた書類を指します。個人別明細書の提出先である市区町村ごとに、1枚ずつ作成する必要があり、表紙のような役割を持ちます。
総括表は、給与所得者が居住している自治体の数を作成する必要があります。
給与支払報告書のフォーマットは、各市町村のホームページからダウンロードするか、窓口で直接受け取れます。給与支払報告書の作成方法を個人別明細書・総括表に分けて、解説します。
個人別明細書の記載内容は、全国共通であり、源泉徴収票とほぼ同じです。そのため、年末調整時に作成した源泉徴収票を確認しながら記入すれば、迅速に作成できます。記載項目のなかで、注意すべき3点を下記で詳しく解説します。
支払金額の記入時に注意すべき点は、前年分に支払った給与の総額を記入することです。また、対象期間は前年1月1日から12月31日までです。年度途中で退職や離職した給与所得者の場合も、昨年中に支払った給与総額を記入してください。
給与所得控除後の金額における注意点は、年末調整を行った従業員のみに記入が必要な項目であることです。年末調整を行っていない給与所得者の場合は空欄で構いません。給与所得控除後の金額には、給与支払額に応じて国が定めた控除額を支払金額から差し引いて記入してください。
所得控除額の合計額は、該当するすべての所得控除を合算した金額を記入することに注意してください。
▼主な所得控除の項目
年末調整を行った給与所得者に対し、所得控除額の合計額を記載する必要があります。年末調整していない給与所得者に対しては、所得控除額の合計額を空欄で提出します。
原則的に総括表は、提出先である市町村から送付されてきます。総括表の記載項目やフォーマットは、市町村によって多少異なります。そのため、提出先の市町村が指定している記入例を参考に記入してください。
総括表の記載項目のなかで、注意すべき3点を下記で詳しく解説します。
給与の支払期間の対象となる期間は、前年の1月1日から12月31日までであることに注意してください。令和4年度分に提出する場合は、令和3年の1月1日から12月31日までが対象期間となります。また、毎月の給与額のほかにも、対象期間内で支払った賞与やボーナスがあれば支払い金額に加算してください。
報告人員の欄には、提出先の市町村へ報告する給与所得者の人数を記入します。自治体によっては、年末調整を行った特別徴収者と、普通徴収者を分けて記載しなければなりません。
普通徴収とは、個人で確定申告をし、住民税を納める給与所得者を指します。年度途中の退職者や、個人事業主が普通対象者に当たります。
納入書の送付欄は、納付書で支払う際には「要」に◯をつけます。インターネットバンキングで支払い、納入書を使わない場合は、「不要」に◯をつけてください。ただし、振込金額と実際の納入額が一致しているかを確認するために、納入書の送付を利用するケースもあります。
給与支払報告書の提出方法は、大きく分けて以下の3通りです。
給与支払報告書は、光ディスクでも提出が可能です。必要なデータが入った光ディスクを郵送、または窓口に提出してください。ただし、光ディスクでの提出は事前に申請し、承認を受ける必要があります。
給与支払報告書を提出する順序を解説します。
給与支払報告書と源泉徴収票は両者とも事業主が作成する書類であり、記載内容もほぼ同じです。ただし、大きく異なる点が3つあります。
住民税も所得税も、1年間で受け取った給与を元に算出されます。両者の記載項目が似通っているのはそのためです。提出期限は、両者とも1月31日です。
給与支払報告書について気をつけるべきポイント4つを、下記で詳しく解説します。
給与支払報告書の提出期限は、毎年1月31日です。31日が休日の場合は、その翌日に期限が変更されます。期日直前は窓口の混雑が予想されるため、余裕を持ってスケジュールを組んでおきましょう。
給与支払報告の提出を怠った場合、事業主には以下が科せられます。
1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
虚偽の申告を行った場合も同様です。給与支払報告書の提出は法律で義務付けられています。そのため、期限を過ぎてしまっていても、できる限り迅速に提出しましょう。
給与支払報告書の提出が遅れてしまった場合、事業主には直接的なペナルティは科せられません。しかし、提出期限が過ぎることで、住民税の確定に遅れが生じます。
税金の算出作業が行われる6月までに提出されなかった場合、月々にかかる従業員の支払い額が増えてしまいます。これは通常12か月に分割して支払う住民税を、少ない月数で割って支払う必要があるためです。
そのため、従業員に多大なる負担を強いることとなり、事業主への不信感につながることもあります。そのような事態に陥らないために、給与支払報告書は期日までに必ず提出しましょう。
給与支払報告書の対象者である給与所得者が、給与支払報告書の提出後に、以下の理由から異動した場合の対処法を解説します。
いかなる理由でも給与の支払いを停止した場合は、給与所得者が住む市町村に報告しなければなりません。「給与所得者異動届出書」に所定事項を記入して、速やかに提出しましょう。
給与所得者異動届出書は市町村によって、若干仕様が異なります。該当する市町村のホームページでダウンロードするか、窓口で直接請求をしてください。
給与支払報告書の提出が不要であるケースがあります。これは給与の支払いが30万円以下である退職者について、特例により給与支払報告書の提出が不要となるケースです。ただし、あくまでも特例の措置であり、市町村によっては提出を要求されることがあります。事前に確認しておきましょう。
給与支払報告書を提出後の流れは、以下のとおりです。
給与支払報告書は、従業員の住民税を算出する市町村にとって大切な書類です。給与支払報告書は、個人別明細書と総括表の2つで構成されています。正社員だけではなく、役員・パート・アルバイトを含めた給与所得者すべてが対象となります。給与支払報告書の提出が遅れることで、給与所得者に負担をかかります。事業主は作成方法や意義を理解し、提出期日までに必ず提出してください。
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給与支払報告書は、給与支払者(経営者・事業主・法人など)が給与所得者である従業員に対して支給した給与金額を従業員の居住する自治体に報告する書類です。本記事では、給与支払報告書の必要性や作成方法、提出までの流れなどを中心に詳しく解説します。※2022年7月5日に更新
給与支払報告書とは
給与支払報告書とは、地方自治体が給与支払者に提出を義務付けている書類です。地方税法第317条の6によって規定されています。給与支払者(経営者・事業主・法人など)は、前年中に支払った給与や賞与といった金額を、従業員が住む市町村別に報告しなければなりません。給与支払報告書のポイントは下記の通りです。
給与支払報告書は、各自治体が個人の住民税額を決定する際に必要な書類です。提出義務のある事業主は、期日までに必ず提出すべき市町村に漏れなく提出してください。
参考:地方税法「第317条の6」
給与支払報告書の提出が必要な対象者とは
給与支払報告書の提出が必要となる対象者は、以下の条件に該当します。
給与支払報告書は、給与額の多少を問いません。給与支払者は、給与所得者全員について、給与支払報告書の作成が必要です。
参考:地方税法「第317条の6」
給与支払報告書における2つの構成要素
給与支払報告書の構成は「個人別明細書」と「総括表」の2種類です。下記より詳しく解説します。
すべての給与所得者に対し、作成義務がある個人別明細書
個人別明細書は、自社に勤務する給与所得者である人数分を作成しなければなりません。給与支払いを受けた従業員などの個人情報を記載します。
▼個人別明細書の主な記載内容
個人別明細書には、源泉徴収票とほぼ同じ内容が記載されます。
個人別明細書をまとめる総括表
総括表とは、個人別明細書をまとめた書類を指します。個人別明細書の提出先である市区町村ごとに、1枚ずつ作成する必要があり、表紙のような役割を持ちます。
▼総括表の主な記載内容
総括表は、給与所得者が居住している自治体の数を作成する必要があります。
給与支払報告書の作成方法
給与支払報告書のフォーマットは、各市町村のホームページからダウンロードするか、窓口で直接受け取れます。給与支払報告書の作成方法を個人別明細書・総括表に分けて、解説します。
個人別明細書の作成方法
個人別明細書の記載内容は、全国共通であり、源泉徴収票とほぼ同じです。そのため、年末調整時に作成した源泉徴収票を確認しながら記入すれば、迅速に作成できます。記載項目のなかで、注意すべき3点を下記で詳しく解説します。
「支払金額」記入時の注意点
支払金額の記入時に注意すべき点は、前年分に支払った給与の総額を記入することです。また、対象期間は前年1月1日から12月31日までです。年度途中で退職や離職した給与所得者の場合も、昨年中に支払った給与総額を記入してください。
「給与所得控除後の金額」記入時の注意点
給与所得控除後の金額における注意点は、年末調整を行った従業員のみに記入が必要な項目であることです。年末調整を行っていない給与所得者の場合は空欄で構いません。給与所得控除後の金額には、給与支払額に応じて国が定めた控除額を支払金額から差し引いて記入してください。
「所得控除額の合計額」記入時の注意点
所得控除額の合計額は、該当するすべての所得控除を合算した金額を記入することに注意してください。
▼主な所得控除の項目
年末調整を行った給与所得者に対し、所得控除額の合計額を記載する必要があります。年末調整していない給与所得者に対しては、所得控除額の合計額を空欄で提出します。
総括表の作成方法
原則的に総括表は、提出先である市町村から送付されてきます。総括表の記載項目やフォーマットは、市町村によって多少異なります。そのため、提出先の市町村が指定している記入例を参考に記入してください。
総括表の記載項目のなかで、注意すべき3点を下記で詳しく解説します。
「給与の支払期間」記入時の注意点
給与の支払期間の対象となる期間は、前年の1月1日から12月31日までであることに注意してください。令和4年度分に提出する場合は、令和3年の1月1日から12月31日までが対象期間となります。また、毎月の給与額のほかにも、対象期間内で支払った賞与やボーナスがあれば支払い金額に加算してください。
「報告人員」記入時の注意点
報告人員の欄には、提出先の市町村へ報告する給与所得者の人数を記入します。自治体によっては、年末調整を行った特別徴収者と、普通徴収者を分けて記載しなければなりません。
普通徴収とは、個人で確定申告をし、住民税を納める給与所得者を指します。年度途中の退職者や、個人事業主が普通対象者に当たります。
「納入書の送付」記入時の注意点
納入書の送付欄は、納付書で支払う際には「要」に◯をつけます。インターネットバンキングで支払い、納入書を使わない場合は、「不要」に◯をつけてください。ただし、振込金額と実際の納入額が一致しているかを確認するために、納入書の送付を利用するケースもあります。
給与支払報告書の提出方法
給与支払報告書の提出方法は、大きく分けて以下の3通りです。
給与支払報告書は、光ディスクでも提出が可能です。必要なデータが入った光ディスクを郵送、または窓口に提出してください。ただし、光ディスクでの提出は事前に申請し、承認を受ける必要があります。
給与支払報告書を提出する順序
給与支払報告書を提出する順序を解説します。
給与支払報告書と源泉徴収票との違い
給与支払報告書と源泉徴収票は両者とも事業主が作成する書類であり、記載内容もほぼ同じです。ただし、大きく異なる点が3つあります。
住民税も所得税も、1年間で受け取った給与を元に算出されます。両者の記載項目が似通っているのはそのためです。提出期限は、両者とも1月31日です。
給与支払報告書で気をつけておきたい4つのポイント
給与支払報告書について気をつけるべきポイント4つを、下記で詳しく解説します。
給与支払報告書の提出期限
給与支払報告書の提出期限は、毎年1月31日です。31日が休日の場合は、その翌日に期限が変更されます。期日直前は窓口の混雑が予想されるため、余裕を持ってスケジュールを組んでおきましょう。
提出しなかった場合のペナルティ
給与支払報告の提出を怠った場合、事業主には以下が科せられます。
1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
虚偽の申告を行った場合も同様です。給与支払報告書の提出は法律で義務付けられています。そのため、期限を過ぎてしまっていても、できる限り迅速に提出しましょう。
参考:地方税法「第317条の6」
提出が遅れた場合のペナルティ
給与支払報告書の提出が遅れてしまった場合、事業主には直接的なペナルティは科せられません。しかし、提出期限が過ぎることで、住民税の確定に遅れが生じます。
税金の算出作業が行われる6月までに提出されなかった場合、月々にかかる従業員の支払い額が増えてしまいます。これは通常12か月に分割して支払う住民税を、少ない月数で割って支払う必要があるためです。
そのため、従業員に多大なる負担を強いることとなり、事業主への不信感につながることもあります。そのような事態に陥らないために、給与支払報告書は期日までに必ず提出しましょう。
給与支払報告書の提出後に、対象者に異動があった場合
給与支払報告書の対象者である給与所得者が、給与支払報告書の提出後に、以下の理由から異動した場合の対処法を解説します。
いかなる理由でも給与の支払いを停止した場合は、給与所得者が住む市町村に報告しなければなりません。「給与所得者異動届出書」に所定事項を記入して、速やかに提出しましょう。
給与所得者異動届出書は市町村によって、若干仕様が異なります。該当する市町村のホームページでダウンロードするか、窓口で直接請求をしてください。
給与支払報告書が提出不要のケース
給与支払報告書の提出が不要であるケースがあります。これは給与の支払いが30万円以下である退職者について、特例により給与支払報告書の提出が不要となるケースです。ただし、あくまでも特例の措置であり、市町村によっては提出を要求されることがあります。事前に確認しておきましょう。
給与支払報告書を提出後の流れ
給与支払報告書を提出後の流れは、以下のとおりです。
給与支払報告書の意義を正しく知って適正な申告を
給与支払報告書は、従業員の住民税を算出する市町村にとって大切な書類です。給与支払報告書は、個人別明細書と総括表の2つで構成されています。正社員だけではなく、役員・パート・アルバイトを含めた給与所得者すべてが対象となります。給与支払報告書の提出が遅れることで、給与所得者に負担をかかります。事業主は作成方法や意義を理解し、提出期日までに必ず提出してください。