フレックスタイム制とは何か~導入する手順と注意点~

フレックスタイム制

昨今、導入する企業が増えている「フレックスタイム制」。フレックスタイム制は、法定労働時間を超えて、従業員が働ける制度です。導入した場合、従業員は自由に時間を決めて働くことになります。※2020年11月10日に更新

勤務時間の自由度がとても高いフレックスタイム制

フレックスタイム制が運用できる業種や職種であれば、朝夕の通勤ラッシュを避けた時差通勤・オフピーク通勤を実現しやすく、従業員の負担を軽減し能力をより引き出せる可能性があります。1日の勤務時間が継続していなくても可とすれば、在宅勤務と出勤を組み合わせ、早朝に自宅で仕事をしてから、途中で出勤する活用も考えられます。

また、子育てや介護をしながら働く社員にとっては、家族の予定と調整しながら勤務時間を変形して働くことができるため、ワークライフバランスの実現に非常に有効です。子育てや介護は一時的なものなので、制度を上手く活用することで、優秀な人材の離職を防げます。

フレックスタイム制を導入するには

フレックスタイム制を採用するには、就業規則などによって「出勤・退勤の時刻を従業員自身が決めることができる旨」を定めます。さらに、労働組合あるいは 従業員の過半数を代表する者との労使協定によって、 以下の事項を定めなければなりません。

対象となる労働者の範囲

対象となる労働者の範囲は、従業員ごと、課ごと、グループ・セクションごと等、様々な範囲が考えられます。たとえば、「全従業員」でも構いませんし、「企画部の全職員」というように限定してもOKです。

清算期間

労働契約上、従業員が労働すべき時間を定める期間です。「毎月1日から月末まで」のように 起算日と長さ(3ヶ月以内)を定める必要があります。

清算期間における総労働時間

清算期間内に従業員が労働すべき、所定労働時間のことです。原則として、法定労働時間を超えて定めることはできません。1週間の法定労働時間が40時間で、清算期間が1ヶ月の場合、法定労働時間は以下のようになります。

暦日数 28日 29日 30日 31日
法定労働時間 160.0時間 165.7時間 171.4時間 177.1時間

標準となる1日の労働時間

標準となる1日の労働時間とは、年次有給休暇を取得した際に、これを何時間労働したものとして賃金を計算するのかを明確にしておくためのものであり、時間数を定めることで足りるものです。フレックスタイム制の対象となる従業員が有給を1日使った場合に、その日は「標準となる1日の労働時間」だけ働いたものとして 取扱う必要があります。

コアタイムとフレキシブルタイム

フレックスタイム制には、勤務すべき時間帯(コアタイム)と、いつ出勤・退勤してもよい時間帯(フレキシブルタイム)があります。コアタイムを設けず、すべてをフレキシブルタイムとすることも可能です。

ただし、コアタイムが「標準となる1日の労働時間」と同程度である場合、フレキシブルタイムの時間帯が極端に短くなり、問題です。たとえば、フレキシブルタイムが30分しかない場合や、フレキシブルタイムの時間帯が30分単位になっていて、その中から始業・終業時間を選ぶような場合は、出勤・退勤の時間を従業員が自主的に決定しているとは言えず、フレックスタイム制の趣旨に反することになるため、注意が必要です。

フレックスタイム制の残業代

清算期間における総労働時間を超えて働いた時間に対しては、残業代が発生します。たとえば、清算期間における総労働時間が170時間で、実労働時間が180時間であった場合は10時間分の残業代が発生します。 ちなみに、この10時間を、精算期間終了の翌月に持ち越す(翌清算期間における総労働時間と相殺する)ことはできません。

実労働時間が不足した場合は

たとえば、清算期間における総労働時間が170時間で実労働時間が160時間であったとします。この場合、不足した10時間分に応じた金額を当月分の給料から減額できます。また、不足した10時間を翌精算期間に持ち越すことも可能です。

フレックスタイム制の注意点

コアタイムは設けても設けなくても構いませんが、コアタイムがない場合、従業員の勤務時間帯が異なる事によって打合せの時間を設定することが難しくなったり、同じ仕事をする人たちが顔を合わせる機会が減るため、コミュニケーションの不足が起こりやすくなったりします。フレックスタイム制を運用する場合には、就業時間の自由度を保ちながら、仕事の効率を高く保つ、適度なコアタイムを設定することが理想的です。

また、法定労働時間内であっても夜10時~翌朝5時の間に労働する場合は、深夜の割増賃金の支払いが必要になることに注意しなければなりません。残業代の問題だけでなく、従業員の健康を維持するためにも、時差のある海外とのオンラインミーティングなど業務の上で必要な場合を除いては、深夜労働を助長することがない様に、制度を工夫することも大切です。

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