月平均所定労働時間とは?計算方法や変わる理由を解説

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給与計算をする際、残業代を算出するために必要となる月平均所定労働時間。今回は、月平均所定労働時間とは何か、その計算方法、就業規則への記載の有無などについて詳しく解説します。※2021年8月7日に更新

月平均所定労働時間とは何か

月所定労働時間とは、年間の所定労働時間を12ヶ月で割ることにより算出される、1ヶ月あたりの所定労働時間です。所定労働時間とは、就業規則や労働契約であらかじめ定められている月ごとの労働時間です。なお、1年間の所定労働時間のことは年間労働時間といい、以下の計算式で算出します。

{(1年の暦日数) - (年間休日日数)}×8時間

実労働日数とは違う

月平均所定労働時間は実労働日数の意味とまったく異なります。それぞれの意味を正しく知り、混同しないよう注意しましょう。

前述の通り、月平均所定労働時間は、契約上の所定労働時間です。一方の実労働日数は、従業員が実際に働いた日数です。つまり、実労働日数は欠勤があれば所定労働日数よりも少なくなり、休日出勤などがあれば多くなります。

月平均所定労働時間を計算する理由

給与計算をする際、わざわざ月平均所定労働時間を計算する必要はあるのかという疑問をもつかもしれません。しかし、給与計算において月平均所定労働時間の計算は必要です。下記で、その理由を解説します。

まず、残業代や割増賃金の算出には、1時間当たりの基礎賃金を知る必要があるためです。1時間あたりの基礎賃金を知るためには、月平均所定労働時間から計算します。

次に、月ごとに1ヶ月の日数は異なります。よって、実労働日数で1時間当たりの基礎賃金を計算すると、月ごとにばらつきが出てしまうためです。

月平均所定労働時間と残業代の関係

残業代は以下の計算式で算出されます。

(1時間当たりの基礎賃金)×(残業時間)×(割増率)

前述の通り、1時間当たりの基礎賃金は、月平均所定労働時間から算出された平均値です。つまり、月平均所定労働時間が変われば、毎月の残業単価も変わります。

休日が増えると月平均所定労働時間は減り、残業単価は上がります。一方、休日が減ると月平均所定労働時間は増え、残業単価は下がります。残業単価が下がると、労働者に不利益であるため気をつけましょう。なお、残業時間とは、労働契約によって定められている労働時間を超過した時間数です。労働基準法により「1日の労働時間は8時間以内、週においては40時間以内」と定められているため、この時間を超えた労働は残業(時間外労働)です。残業時間の限度は、特別な事情を除いて1カ月45時間、1年360時間と定められています。

月平均所定労働時間の計算方法

月平均所定労働時間の意味や、残業代との関係性を確認したところで、計算方法を確認しましょう。月平均所定労働時間は、下記の3ステップで計算します。

  1. 1年間の所定労働日数を計算

    356日―(1年間の休日の合計日数)

  2. 年間所定労働時間数を計算

    (1年間の所定労働日数)×(1日の所定労働時間)

  3. 月平均所定労働時間を求める

    (年間所定労働時間)÷12ヶ月

3ステップをまとめた計算式は以下のとおりです。

{365日-(1年間の休日日数の合計)}×(1日の所定労働時間)÷12ヶ月

下記で、月平均所定労働時間の計算方法について詳しく解説します。

1日の所定労働時間について

1日の所定労働時間は、法定労働時間の範囲内で事業者が設定する労働時間です。始業してから終業するまでの時間を指し、休憩時間は除きます。なお、休憩時間は労働時間に応じて決まっています。詳しくは下記の表をご確認ください。

労働時間が6時間以内 なし
労働時間が6時間超~8時間以内 45分以上
労働時間が8時間超 1時間以上
 ※労働組合、または労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときを除く(労働基準法第34条)。

計算例

上記の計算方法をもとに、月平均所定労働時間を算出してみましょう。今回は年間休日が105日であるケースと、125日であるケースの2種類で計算します。

  • 年間休日が105日、1日の所定労働時間が8時間の場合

    (365-105)×8時間÷12ヶ月=173時間

  • 年間休日は125日、1日の所定労働時間が8時間の場合

    (365日-125日)×8時間÷12ヵ月=160時間

変形労働時間制の場合はどう計算する?

変形労働時間制とは、労働時間を月単位または年単位で調整。そして、繁盛期に労働時間が増えても残業扱いになることを防ぐ制度です。たとえば、1日8時間勤務の会社である場合「繁盛期は10時間勤務、閑散期は6時間勤務」にすることで、1ヶ月あたりの残業時間の削減につながります。変形労働時間制における月平均所定労働時間の計算方法を、年間単位の場合と1ヶ月単位の場合に分けてご紹介します。

  • 1年単位の場合

    365日(1年間の日数)÷7日(1週間の日数)×40時間(法定労働時間)=2085.714時間 2085時間÷12ヵ月=173.75時間(月平均所定労働時間)

  • 1ヶ月単位の場合

    1ヶ月単位の場合は、31日の月・30日の月・28日の月それぞれを算出し、平均をとるために下記のような計算をします。

    31÷7×40=177.142時間(31日の月)

    30÷7×40=171.428時間(30日の月)

    28日÷7×40=160時間(28日の月)

    177時間×7ヵ月+171時間×4ヵ月+160時間×1ヵ月=1239時間+684時間+160時間=2083時間

    2083時間÷12カ月=173.583時間

割増賃金計算の端数処理

上記の計算例を見てもわかる通り、算出額に端数の出る場合があります。労働基準法上で認められている端数処理は、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げる処理です。

また、1ヶ月における時間外労働時間の合計時間数に1時間未満の端数がある場合は、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げて処理します。

休日合計数が分からない場合の計算方法

月平均所定労働時間の計算方法ステップ1において、1年間の休日における合計日数を把握しなければなりません。1年間の休日合計数を把握するためには、就業規則の確認が必要です。

しかし、就業規則がない会社もあるかもしれません。就業規則が分からない場合には、労働者が有利になるような暦で休日数を合計します。なお、土曜日が休みか否かは、業種により異なるため、柔軟な対応が求められます。

月平均所定労働時間が毎年変わる理由

月平均所定労働時間は毎年変わります。なぜなら、うるう年の場合は366日で計算しなければならないなど、暦により年間休日の日数が変わるためです。どうしても1年間の休日数を固定したい場合には、会社独自の休日を増減させて調整する方法があります。また、残業代が法定の基準を上回る金額になれば、月平均所定労働時間を変える必要はありません。

月平均所定労働時間は、就業規則に記載するのか

月平均所定労働時間の計算根拠となる休日日数や所定労働時間は、就業規則に明記しなければなりません。記載方法は、就労形態によって異なります。ここからは就業規則に明記しなければならない理由と、記載方法をご紹介します。

就業規則の作成義務について

労働基準法89条により、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則の作成義務があります。労働基準法のいう「常時10人以上の労働者」とは、派遣労働者などの雇用期間に定めのある従業員を除いた労働者のことです。また、10人の数え方は企業ではなく事業場単位です。労働基準法89条に該当しているにもかかわらず、就業規則の作成を怠ると労働基準法違反となり「30万円以下の罰金」という罰則があるため注意しましょう。

週休二日制、シフト制、変形労働制における就業規則の記載方法は、下記の通りです。

週休二日制(土日休み)の場合

  • 始業および終業の時刻の記載例

    労働時間は、1週間については40時間、1日については8時間とし、始業・終業時間は次のとおりとする。始業: 09:00 終業: 18:00

  • 休憩時間の記載例

    休憩時間は、原則として12時から13時とする。

シフトによる勤務制の場合

  • 始業および終業の時刻の記載例

    始業時刻、終業時刻及び休憩時間は、次の時刻を基準にして、シフト表によって個人ごとに定める。

1ヶ月単位の変形労働制の場合

  • 就業時間及び休憩時間の記載例

    所定労働時間は、毎月1日を起算日とする1ヵ月単位の変形労働時間制を採用し、1ヵ月を平均して週40時間以内とする。

    1日の所定労働時間は、毎月1日から20日までは7時間、21日から月末までは8時間30分とし、それぞれ、始業・終業時刻は次のとおりとする。

    1日~20日 始業時刻:9時 終業時刻:17時 (休憩時間は12時から13時)

    21日~月末 始業時刻:8時 終業時刻:17時30分(休憩時間は12時から13時)

※出典:労働基準法

月平均所定労働時間を変更するときの注意点

「残業代を少なくしたい」という理由で、月平均所定労働時間を長くしすぎてはいけません。なぜなら、平均所定労働時間には上限があるためです。たとえば、1年が365日、1週間の労働時間が40時間の場合、月平均所定労働時間の上限はおよそ173時間です。1年間の法定労働時間は下記の計算式で算出できます。上限を超えないよう注意しましょう。

(1週間の労働時間)×(暦の日数)÷7

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