変形労働時間制でも残業代は発生する

変形労働時間制

変形労働時間制という制度を知っていますか?労働時間を固定せずに、従業員を働かせられるシステムです。簡単に言うと、忙しいときは労働時間を長くして、暇なときは労働時間を短くできるのが変形労働時間制です。※2020年11月4日に更新

残業代の基本的なルールと現実

労働基準法では、1日8時間、1週間40時間を超えて労働させることはできないと定められています。この法定労働時間を超える労働が必要なときは、残業代(割増賃金)を支払わなければなりません。多くの企業は、「残業代は削減したいが法定労働時間を超えてしまう」というのが現実でしょう。

変形労働時間制なら残業代が発生しにくい?

変形労働時間制では、1ヶ月単位や1年単位など一定の期間を設定し、その期間内で平均して、1週間あたりの労働時間が40時間を超えない範囲で働かせることができます。たとえば、ある週に40時間を超えて働かせても、事前に定めた期間のなかで、平均して1週間あたりの労働時間が40時間を超えなければ、時間外労働にはなりません。

4種類の変形労働時間制

変形労働時間制には、以下の4種類があります。これらのいずれかを採用すれば、法定労働時間を超えて労働させても一定限度までは時間外労働とはならず、残業代も発生しません。

  • 1ヶ月単位の変形労働時間制
  • フレックスタイム制
  • 1年単位の変形労働時間制
  • 1週間単位の非定型的変形労働時間制

1カ月単位の変形労働制について

毎月の締め切り前後で業務量に大きな差が出る職種、例えば、経理や給与計算をする部門などで1カ月単位の変形労働制を活用すると、締め切り前の期間を9~10時間労働、他の日は6~7時間労働に設定できます。従業員も仕事の少ない時期は早く帰宅してプライベートを充実させ、メリハリのある労働によって、締め切り前の忙しい時期を元気に乗り切れるメリットもあります。1カ月の中で労働時間の調整をすることで、締め切り前の期間も規定した労働時間を超えた分だけの残業代を支払えば良いため、時間外労働や残業代を抑制できます。

この1カ月単位の変形労働制を導入する場合は、労使協定または就業規則に規定して、労働基準監督署への届出が必要です。

1年単位の変形労働時間制について

一定期間の中で繁忙期と閑散期がある程度決まっている業種、例えば観光業や小売業などで閑散期に1日の労働時間を減らしたり休日を増やしたりすることで、繁忙期は1日10時間以下・1週52時間以下の範囲で休日を週1日に設定できます。

期間の途中で従業員が退職する場合、週40時間を超えた部分に対して退職時に割増賃金を支払う必要がありますが、育児や介護などで休業する場合には割増賃金を支払う必要はありません。

この1年単位の変形労働時間制を導入する場合は、労使協定を締結して、労働基準監督署へ届出が必要です。

変形労働時間制のまとめ

変形労働時間制は、従業員の労働時間を柔軟に変更できることから、忙しい時期とそうでない時期の差が激しい会社では、大きなメリットがあります。ただし、労働時間の割り振りは、1年単位の変形労働時間制では、1日10時間・1週52時間まで、1週間単位の変形労働時間制では、1日10時間までとされていますので、ご注意を。

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