更新日:2024年05月21日
ブラック企業や未払い残業代がニュースにも取り上げられ、「残業」という言葉をよく耳にしますが、残業について本当に正しく理解できているでしょうか?実は、残業には種類があって意外と難しく、残業代の計算には間違いも多いのです。従業員に残業をさせた場合、割増賃金が必ず発生するわけではありません。残業には2種類あり、割増賃金が発生しない残業が存在するのです。残業は「法定内残業」「法定外残業」の2つに分けられます。このうち、割増賃金が発生するのは「法定外残業」の場合のみです。
残業には、法定内残業と法定外残業があり、法定内残業が発生する可能性がある場合には、残業代の計算に気を付けなければなりません。
法定内残業(法内残業)は、発生する人としない人がいます。会社や職場では、就業規則などで1日の所定労働時間が決められています。それとは別に、国が労働基準法で1日8時間かつ週40時間という法定労働時間を定めています。1日の所定労働時間が8時間未満の場合、その所定労働時間を超えて8時間まで働くことが「法定内残業」です。
例えば、勤務時間が9~17時(休憩1時間)と決められている場合、所定労働時間は7時間であり、18時まで働いた場合には、法定労働時間との差である1時間が法定内残業です。しかし9~18時(休憩1時間)と決められている場合は、所定労働時間が8時間であり、法定労働時間との差はゼロで法定内残業は発生しません。
「法定外残業」とは、労働基準法で定められた1日8時間かつ1週40時間の法定労働時間を超えて働くことです。つまり、労働時間から法定労働時間を引いた差が法定外残業時間です。
例えば、9~20時(休憩1時間)まで働いた場合、労働時間は10時間で、法定労働時間の8時間を引いた2時間が法定外残業時間です。また、1週間の労働時間が合計45時間になったときは、法定労働時間の40時間を引いた5時間が法定外残業時間です。
「法定内残業」については、就業規則や労働契約で残業代をどのように支払うと規定しているかを確認します。割増率を規定している場合には規定に沿って、法定内残業の時間を計算し、割増率をかけて残業代を計算します。しかし、法定内残業の割増率について法律では決まりがありませんので、法定内残業に対しては通常の賃金を支払うと規定しても全く問題はありません。また、就業規則などで特に規定していない場合は割増賃金を計算する必要はありませんので、通常の賃金と同様に計算します。
法定内残業について規定をしていなければ、通常の賃金として計算をしますが、間違って割増賃金を計算して支払っている場合がありますので、所定労働時間が8時間未満の場合には、割増賃金の規定があるかどうか確認し、残業代の計算を見直すと良いでしょう。
仕事に残業はつきものですが、1日8時間、1週40時間を超える法定残業をする必要がある場合には、36協定が必要です。会社と従業員が残業時間の上限などについて話し合って36協定を締結し、労働基準監督署に提出をしていないと、たとえ1時間であっても従業員に法定外残業をさせることはできません。
法定外残業には、時間帯などによって異なる割増賃金の支払いが必要で、正しく計算しないと法律に違反してしまうため、注意が必要です。
法定時間外労働に対しては割増率25%以上、残業が深夜(午後10時~午前5時)になった場合は50%以上の割増賃金の支払いが義務付けられています。また、休日労働(法定休日の労働)に対しては35%以上、休日労働が深夜の場合は60%以上の割増賃金の払いが必要です。
就業規則などで法律を超えた割増率を規定していなければ、残業代は1時間あたりの賃金額に残業時間をかけ、さらに通常1.25、深夜1.5、休日1.35、休日深夜1.6をかけて計算します。
間違えて計算してしまうと従業員から訴えられてしまう可能性もあるため、残業代を正しく計算することが大切です。
フレックスタイム制や変形労働時間制では1日8時間、1週40時間を超えても必ずしも法定外残業にはなりません。決められた期間の労働時間を合計し、法定労働時間の総枠を超えた時間が法定外労働です。フレックスタイム制や変形労働時間制を採用している場合には、残業時間の計算が異なりますので確認をしてください。とくに、一年変形労働時間制の残業代の計算では、所定労働時間をもとに法定内残業と法定外残業を区別して細かい計算が必要です。また、フレックスタイム制では、清算期間の上限が1カ月から3カ月に延長され、月をまたいで労働時間の調節ができるようになりましたので、残業代の計算には注意が必要です。
一口に残業と言っても、残業には種類があり、残業代の計算も異なることがおわかりいただけましたでしょうか。給与計算で、残業代の計算式を謝って設定してしまうと、間違って計算し続け後から大きな問題に発展してしまうため、残業に関する理解はとても大切です。ぜひ、貴社の就業規則や残業代の計算を今一度確認してみてください。
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ブラック企業や未払い残業代がニュースにも取り上げられ、「残業」という言葉をよく耳にしますが、残業について本当に正しく理解できているでしょうか?実は、残業には種類があって意外と難しく、残業代の計算には間違いも多いのです。従業員に残業をさせた場合、割増賃金が必ず発生するわけではありません。残業には2種類あり、割増賃金が発生しない残業が存在するのです。残業は「法定内残業」「法定外残業」の2つに分けられます。このうち、割増賃金が発生するのは「法定外残業」の場合のみです。
「法定内残業」と「法定外残業」は何がちがう?
残業には、法定内残業と法定外残業があり、法定内残業が発生する可能性がある場合には、残業代の計算に気を付けなければなりません。
法定内残業とは?
法定内残業(法内残業)は、発生する人としない人がいます。会社や職場では、就業規則などで1日の所定労働時間が決められています。それとは別に、国が労働基準法で1日8時間かつ週40時間という法定労働時間を定めています。1日の所定労働時間が8時間未満の場合、その所定労働時間を超えて8時間まで働くことが「法定内残業」です。
例えば、勤務時間が9~17時(休憩1時間)と決められている場合、所定労働時間は7時間であり、18時まで働いた場合には、法定労働時間との差である1時間が法定内残業です。しかし9~18時(休憩1時間)と決められている場合は、所定労働時間が8時間であり、法定労働時間との差はゼロで法定内残業は発生しません。
法定外残業とは?
「法定外残業」とは、労働基準法で定められた1日8時間かつ1週40時間の法定労働時間を超えて働くことです。つまり、労働時間から法定労働時間を引いた差が法定外残業時間です。
例えば、9~20時(休憩1時間)まで働いた場合、労働時間は10時間で、法定労働時間の8時間を引いた2時間が法定外残業時間です。また、1週間の労働時間が合計45時間になったときは、法定労働時間の40時間を引いた5時間が法定外残業時間です。
「法定内残業」は割増賃金が必要ない場合もある?
「法定内残業」については、就業規則や労働契約で残業代をどのように支払うと規定しているかを確認します。割増率を規定している場合には規定に沿って、法定内残業の時間を計算し、割増率をかけて残業代を計算します。しかし、法定内残業の割増率について法律では決まりがありませんので、法定内残業に対しては通常の賃金を支払うと規定しても全く問題はありません。また、就業規則などで特に規定していない場合は割増賃金を計算する必要はありませんので、通常の賃金と同様に計算します。
法定内残業について規定をしていなければ、通常の賃金として計算をしますが、間違って割増賃金を計算して支払っている場合がありますので、所定労働時間が8時間未満の場合には、割増賃金の規定があるかどうか確認し、残業代の計算を見直すと良いでしょう。
残業するには36協定が必要?
仕事に残業はつきものですが、1日8時間、1週40時間を超える法定残業をする必要がある場合には、36協定が必要です。会社と従業員が残業時間の上限などについて話し合って36協定を締結し、労働基準監督署に提出をしていないと、たとえ1時間であっても従業員に法定外残業をさせることはできません。
残業代はどうやって計算する?
法定外残業には、時間帯などによって異なる割増賃金の支払いが必要で、正しく計算しないと法律に違反してしまうため、注意が必要です。
法定時間外労働に対しては割増率25%以上、残業が深夜(午後10時~午前5時)になった場合は50%以上の割増賃金の支払いが義務付けられています。また、休日労働(法定休日の労働)に対しては35%以上、休日労働が深夜の場合は60%以上の割増賃金の払いが必要です。
就業規則などで法律を超えた割増率を規定していなければ、残業代は1時間あたりの賃金額に残業時間をかけ、さらに通常1.25、深夜1.5、休日1.35、休日深夜1.6をかけて計算します。
間違えて計算してしまうと従業員から訴えられてしまう可能性もあるため、残業代を正しく計算することが大切です。
フレックスタイム制、変形労働制の場合は?
フレックスタイム制や変形労働時間制では1日8時間、1週40時間を超えても必ずしも法定外残業にはなりません。決められた期間の労働時間を合計し、法定労働時間の総枠を超えた時間が法定外労働です。フレックスタイム制や変形労働時間制を採用している場合には、残業時間の計算が異なりますので確認をしてください。とくに、一年変形労働時間制の残業代の計算では、所定労働時間をもとに法定内残業と法定外残業を区別して細かい計算が必要です。また、フレックスタイム制では、清算期間の上限が1カ月から3カ月に延長され、月をまたいで労働時間の調節ができるようになりましたので、残業代の計算には注意が必要です。
まとめ
一口に残業と言っても、残業には種類があり、残業代の計算も異なることがおわかりいただけましたでしょうか。給与計算で、残業代の計算式を謝って設定してしまうと、間違って計算し続け後から大きな問題に発展してしまうため、残業に関する理解はとても大切です。ぜひ、貴社の就業規則や残業代の計算を今一度確認してみてください。