標準報酬月額とは~決定と改定について~

標準報酬月額

標準報酬月額とは、健康保険厚生年金保険など社会保険料の納付額や、将来の年金受給額を決定する際の基準となるものです。たとえば、会社員が毎月負担する厚生年金保険料は、「標準報酬月額 × 保険料率」によって算出されています。本来、「月給 × 保険料率」によって求めるべきですが、会社員の給与は残業量などによって変動するため月によって異なりますし、当然一人ひとりが異なります。とはいえ、給与計算をする立場からしたら、一人ひとりの給与額をもとに毎月保険料を計算するのは極めて煩雑で非効率です。このような事務処理を簡略化するために設けられたのが、標準報酬月額です。※2021年1月20日に更新

標準報酬月額の等級は32

厚生年金保険料を求めるための標準報酬月額には32の等級があります。健康保険料を求めるための標準報酬月額は50等級に分けられますが、都道府県によって区分が異なります。たとえば、厚生年金保険料を求める場合、4・5・6月の給料の平均が25~27万円の人は標準報酬月額260,000の17等級に該当します。この場合、給料が25万円のAさんと26万9000円のBさんでは約2万円の差がありますが、厚生年金保険料はAさんもBさんも「標準報酬月額 ×保険料率18.3%」の47,580円となり、労使が折半してそれぞれが23,790円を納めます。

※参考:厚生年金保険料額表|日本年金機構保険料額表|全国健康保険協会

※賞与の標準報酬

賞与にも社会保険料の負担がありますが、賞与に等級はありません。1回の賞与の支給に対して、該当する標準賞与額に保険料率をかけた金額が社会保険料となります。

報酬になるもの・ならないもの

標準報酬月額の根拠となる給料には、通勤手当や残業代なども含まれます。また、食事補助や住宅補助など、毎月受け取っているものであれば基本給以外も報酬とみなさます。一方で、結婚祝い金や見舞金、出張の旅費などは報酬にはなりません。

標準報酬月額の決定・改定

標準報酬月額は4・5・6月の給料の平均額をもとにして、国が毎年7月に決定しています(定時決定)。事務的には、会社(事業所)は、4~6月に従業員へ支払った報酬を算定基礎届に記載し、事務センターまたは管轄の年金事務所へ提出します。定時決定で決まった標準報酬月額は、基本的に9月から翌年8月までの1年間は固定されます。ただし、昇給や降格などで区分が2等級以上変わる場合、会社は標準報酬月額の変更を届け出なければなりません(随時改定)。その他、標準報酬月額が決定・改定される要因としては、従業員が入社する際に雇用契約によって報酬月額を届け出ることで決定する「資格取得時決定」や、育児休業後の標準報酬月額を見直す「育児休業等終了時改定」があります。

※参考:支払基礎日数が17日未満の月がある場合

報酬の受取期間が3ヶ月未満の場合

原則として、4月から6月の3ヶ月間で支払われた報酬により標準報酬月額が決定されます。では、期間が3ヶ月未満になる場合はどうなるのでしょう。たとえば4月に入社した従業員の場合、給与の支給は5月と6月の2回かもしれません。こういったケースでは報酬を受け取ったのが2ヶ月間になり、当該2ヶ月間の報酬月額で標準報酬月額が決まります。

厚生年金の標準報酬月額の等級が増えました

2020年9月分から、厚生年金保険の標準報酬月額の上限が1等級増え、32等級・650千円が新設されました。これまで31等級・620千円だった被保険者の中でも、支払われた給料の平均が635,000円以上の場合、32等級が適用され、2020年8月分以前と比べ厚生年金保険料の被保険者負担は2,645円ほど増えました。

厚生年金の場合、標準報酬月額とそれを支払った期間によって、将来受け取る年金の額が計算されるため、上限が引き上げられたことで将来の年金の額が増えるメリットもあります。

傷病手当金と出産手当金の基礎になる標準報酬月額

健康保険は2016年4月から標準報酬月額の 上限に3等級が新設されて、50等級・1,390千円が上限になりました。

健康保険の場合は、安い保険料でも高い保険料でも、受けられる医療は同じなので、等級が高く保険料が高いと損をしていると感じる方が多いと思いますが、傷病手当金や出産手当金の給付を受ける場合には、標準報酬月額が高い方が、より多い手当金を受け取れます。

もし仕事以外の理由で病気やケガをして働けなくなり、有給休暇が足りないなど給料の支払いを受けられなかった場合には傷病手当金を申請できます。また、産前産後休暇に給料の支払いを受けられなかった場合、出産手当金を申請できます。

この傷病手当金、出産手当金は、標準報酬月額の2/3が給付されるので、標準報酬月額が高い人の方が手当金の額が多くなるのです。

標準報酬月額のまとめ

  • 標準報酬月額とは、社会保険料の納付額や将来の年金受給額を決定する際の基準となるものである。
  • 標準報酬月額の根拠となる給料には、通勤交通費や残業代、住宅補助など、毎月受け取っているものであれば基本給以外も含まれる。
  • 基本的に、標準報酬月額は4・5・6月の給料の平均額をもとにして、国が毎年7月に決定する(定時決定)。

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