通勤手当とは~支給の義務、非課税限度額について~

通勤手当

通勤手当とは、役員や従業員の通勤にかかる費用を補助するために、会社が支払う給与の一部です。電車やバスなどの公共交通機関を利用する場合はその運賃、自動車を使って通勤する場合はガソリン代が通勤手当に該当します。※2020年5月28日に更新

通勤手当を支給する義務はない

多くの会社が通勤手当を支給していますが、当該通勤手当の支給は労働基準法などによって義務付けられているわけではなく、原則は、役員や従業員の自己負担です。会社が就業規則や給与規定で「通勤手当を支給する」などと規定することではじめて支給する義務が生じますが、いくら支給するかは会社の任意で決定できます。実際には、通勤にかかる費用を全額支給する会社もあれば、「日額1,000円まで」「月額3万円未満」など、上限を設けている会社もあります。

※交通費は移動のための費用

交通費とは、営業や出張などの業務を遂行するために発生する移動費です。交通費は役員や従業員が立替払いをして、月締めなどで目的・経路・運賃と合わせて実費精算するのが一般的です。また、交通費は非課税所得であり、会計科目上では、「旅費交通費」という勘定科目で処理されます。

通勤手当の非課税限度額はいくら?

通勤手当は給与の一部として扱われるため、本来、所得税・住民税の課税対象になりますが、一定の限度額(非課税限度額)までは非課税とされています。電車やバスなどの公共交通機関だけを使用して通勤している場合、通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した定期代などの金額が、1か月当たり15万円まで非課税となります。(通勤手当の非課税限度額は、平成28年度の税制改正により引き上げられました)

たとえば、遠方から新幹線で通勤する従業員で、1ヶ月の通勤手当が15万円を超えると、超過部分は課税対象になります。つまり、通勤に要する費用を全額支給しても、従業員の手元に残る金額は少なくなるということです。なお、自転車・自動車などの交通用具を使用して通勤する場合は、片道の通勤距離に応じて非課税限度額が決められています。参考)【国税庁】No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当

※1ヶ月で15万円ぐらいの通勤定期

ひと月で15万円の定期代、と言われてもイメージが湧かないかもしれません。調べてみたところ、東海道新幹線のFREX(通勤用)だと、東京~静岡が136,330円、東京~掛川は175,400円でした。参考)新幹線定期券「FREX(通勤用)」・「FREXパル(通学用)」|新幹線の通勤・通学|JR東海

※通勤手当が非課税になる条件

通勤手当が非課税になるのは、もっとも合理的かつ経済的な経路で通勤した場合に限られます。たとえば新幹線のグリーン車・タクシー通勤を使った場合などは、その費用を通勤手当に含むことはできません。

通勤手当は消費税の課税仕入れになる?

非課税限度額は消費税ではなく、所得税の非課税限度額です。通勤に通常必要とする範囲内の通勤手当であれば、所得税の非課税限度額を超えている場合であっても、その全額が消費税の課税仕入れに該当することになります。

通勤手当の不正受給は懲戒処分?

従業員が電車通勤を前提に通勤手当を申請しているにもかかわらず、定期券を購入せずに自転車で通勤している場合はどうなるでしょう?この場合、通勤手当の不正受給となります。就業規則に規定しておけば、通勤手当を不正受給した従業員にはその返還を求めたり、懲戒処分としたりすることもできます。

通勤手当は社会保険料の計算の基礎になる?

所得税の計算では一定額までが非課税となりますが、社会保険料の計算においては全額が計算の基礎になりますので、標準報酬月額に含める必要があります。

まとめ:通勤手当の3つのポイント

  • 通勤手当とは、従業員の通勤にかかる費用を補助するために会社が支払う給与の一部である。
  • 通勤手当は給与の一部として扱われるため、本来、所得税・住民税の課税対象になるが、月額15万円までは非課税となる(非課税限度額)。
  • 交通費とは、営業や出張などの業務を遂行するために発生する移動費である。

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