更新日:2025年02月02日
基礎控除申告書とは、給与所得者が基礎控除を受けるために提出する重要な書類です。年末調整時に勤務先へ提出し、正確な控除額を申告することで、適切な所得税が計算されます。本記事では、基礎控除申告書の役割や年末調整について詳しく解説し、その書き方や注意点を紹介します。
目次
「給与所得者の基礎控除申告書」は、給与所得者が基礎控除を受けるために必要な書類です。従業員は給与所得者の基礎控除申告書を、年末調整の際に勤務先へ提出しなければなりません。この申告書を提出することで、適切な基礎控除が適用され、所得税額が正確に計算されます。
以下では、「給与所得者の基礎控除申告書」の役割や、その背景となる「年末調整」について詳しく解説します。
「年末調整」とは、給与所得者に対して会社が行う所得税の過不足を調整する手続きです。会社は給与や賞与を支給する際、概算で所得税を計算し、毎月源泉徴収します。しかし、この金額は年間の実際の所得税額と一致しないことがあるため、年末に精算が必要となります。
具体的には、1年間の給与収入や適用可能な控除額をもとに正確な税額を再計算し、差額を還付または追加徴収する仕組みです。年末調整により、納税者は確定申告の手間を省けるだけでなく、適正な税負担が反映されます。
年末調整の対象は、「扶養控除等申告書」を勤務先に提出している人であり、給与収入が2,000万円を超える人など一定の人は対象外です。なお、自営業やフリーランスの人は、年末調整ではなく、確定申告で精算をします。
基礎控除は、年末調整で所得税を算出する際に、総所得金額などから差し引ける控除です。控除額は、納税者自身の合計所得金額に応じて、以下の表のとおりに設定されています。
基礎控除額は、合計所得金額が2,400万円以下の場合は一律48万円です。合計所得金額が2,400万円を超えた場合には、控除額は段階的に減少し、2,500万円を超えた段階で基礎控除が適用されなくなります。
参考)国税庁「No.1199 基礎控除」
基礎控除申告をする際には、下図の「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という書類を使用します。
この申告書は、2020年の税制改正によって3種類の申告書が1枚に統合された形式になっています。この書類により、「給与所得者の基礎控除」だけでなく、「配偶者控除」や「所得金額調整控除」も申告可能です。
企業は年末調整を受ける従業員にこの申告書を配布し、回収する義務があります。配偶者控除や所得金額調整控除の適用を受けない場合であっても、基礎控除申告書に該当部分を記入し、提出しなければなりません。
※国税庁「令和6年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書兼所得金額調整控除申告書」を引用して加工
給与所得者の基礎控除申告書は、年末調整時に提出する重要な書類です。この申告書の記入方法を間違えると、税額に影響を及ぼす可能性があります。ここでは、基礎控除申告書の各項目の記入方法と注意点について、詳しく解説します。
①の「収入金額」欄には、1年間(1月から12月)の給与収入の総額を記載します。この際、記入する金額は社会保険料や税金が差し引かれる前の課税支給総額です。手取り額を記載しないよう注意が必要です。
年末調整の書類は通常、11月から12月上旬に作成されるため、12月分の給与が確定していない場合もあります。この場合、12月分は概算で見積もり、1月から11月までの確定分と合算して年間の収入額を算出しましょう。
複数の勤務先から給与を受け取っている場合、それぞれの勤務先からの課税支給総額を合算して記入します。
②の「所得金額」は、①の収入金額から給与所得控除額を差し引いて算出します。給与所得控除額は、給与収入の金額によって変わります。
以下の表は、給与収入金額ごとの給与所得控除額と、所得金額を計算するための表です。この表を利用して、所得金額を算出します。
①の収入金額が300万円であった場合は、「給与の収入金額 (ⓐ)」の「1,800,000円以上 3,599,999円以下」に該当するため、以下のとおりに計算します。
よって、②に記載する所得金額は、2,020,000円になります。
参考)国税庁「令和6年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書兼所得金額調整控除申告書」
所得金額調整控除は、給与所得者の総所得金額計算時に適用される控除制度です。
この控除には「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」と「給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除」の2種類があります。
年末調整で適用できるのは「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」のみです。
この控除を受けるには、年末調整時に「所得金額調整控除申告書」を提出する必要があります。扶養控除とは異なり、夫婦双方が条件を満たせば両者とも適用を受けられます。
「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」の適用条件は以下のとおりです。
控除額の計算式は以下のとおりです。
{給与収入額(1,000万円超の場合は1,000万円)-850万円} × 10% (1円未満の端数は切り上げ)
副業や事業所得など、給与所得以外の所得がある場合は、その合計額を③「給与所得以外の所得の合計額」欄に記入します。
基礎控除額は、給与所得に加え、配当所得・不動産所得・事業所得・雑所得など、すべての所得を合計した金額に基づいて計算されます。
その際、記載する金額は売上ではなく、必要経費を差し引いた後の所得金額である点に注意が必要です。
本年中の合計所得金額の見積額欄には、②で算出した給与所得の金額と、③に記載した給与以外の所得の合計額を足した金額を記入します。この「本年中の合計所得金額の見積額」は、基礎控除額を決定する基準となるため、正確さが求められます。
また、申告書へ合計額を記入する際は、計算ミスや記入漏れがないよう注意しましょう。
④の左下には⑤判定表があり、④の「本年中の合計所得金額の見積額」がどのカテゴリーに該当するかを確認します。該当するカテゴリーのチェックボックスにチェックを入れ、その控除額を⑥の欄に記入しましょう。
また、チェックを入れたカテゴリーに(A)(B)(C)(D)のいずれかの記号が付されている場合は、その記号を⑦「区分Ⅰ」欄に記載します。さらに、チェックした金額が定額減税の対象となる場合は、⑧「本人定額減税対象」の欄にもチェックを入れる必要があります。
修正箇所には二重線を引き、その上部または下部に訂正内容を記載します。修正液は使用できませんが、訂正印の押印は、必須ではありません。ただし、修正期限には注意が必要です。年末調整に関連する書類の最終提出期限は翌年1月31日であり、それまでに修正を完了させる必要があります。
期限に間に合わない場合は、従業員自身が確定申告で修正を申告しなければなりません。源泉徴収票をもとに、確定申告書を作成して税務署へ提出することになります。
基礎控除申告書の記入ミスは、税金に影響を与えることがあります。ここでは、記入ミスがもたらす具体的なリスクについて解説します。
基礎控除申告書の記入ミスがあると、支払う税金に過不足が生じる可能性があるため注意が必要です。
控除額が誤って記入されていた場合、源泉所得税の還付を受けられなくなり、過剰に税金を支払うことになるおそれがあります。そうなると、本来受けるべき還付金を逃してしまうことにつながり、従業員が不利益を被る結果となってしまうでしょう。
所得税が不足している場合、納税者にペナルティが科されます。また、不足分を放置すると、不納付加算税や延滞税が発生し、最終的に高額な金額を支払うことになりかねません。従業員の信用にも悪影響を与えてしまうおそれもあるため、税金の過不足には十分注意が必要です。
基礎控除申告書に記入ミスがあると、再度修正や確認、申請手続きが必要になり、年末調整を担当する従業員の業務負担が増加します。業務量が増えることで、他の業務に割く時間が減り、効率的に作業を進めることが難しくなるおそれもあります。
担当者の負担を軽減するためにも、早期にミスに気づき、迅速に対処できる体制を整えることが重要です。早めの対応が業務の円滑な進行を助け、無駄な手間やコストの削減につながります。
基礎控除申告書の記入ミスを防ぐためのポイントとして、以下のものが挙げられます。
以下で、それぞれについて解説します。
年末調整の時期は多くの企業で業務が集中し、担当者の負担が増加します。申告書の提出が遅れると、その後の処理が遅延し、全体のスケジュールに影響を与える可能性があります。したがって、余裕を持ったスケジュールでの配布と回収が重要です。
10月頃から、保険会社などから証明書が発行され始めるため、この時期に年末調整の説明会を実施したり、書類を配布したりすることが効果的です。
基礎控除申告書を正確に記入するためには、複数人で書類をチェックすることが不可欠です。単独で確認するだけでは見落としや誤りが発生しやすいため、他の担当者にも目を通してもらうことで、ミスを早期に発見できます。
年末調整の書類は、法改正や税率変更により頻繁に更新されるため、最新の情報をもとにチェックすることが重要です。複数人で確認することで、新様式への適切な対応や改正内容の反映漏れを防げます。
また、保険加入や家族構成の変更にも注意が必要です。新たな保険加入や、結婚や出産などのライフイベントがあった場合、それらの変更を申告書に反映させる必要があります。これらの項目も含めて複数人でチェックすることで、記入ミスを未然に防ぐようにしましょう。
基礎控除申告書の記入ミスを防ぐためには、システムやツールの導入が効果的です。手作業での処理はミスが発生しやすいため、専用システムの活用により記入ミスや不備のリスクを大幅に減らせます。
システムを導入することで、入力ミスを減らすだけでなく、自動計算やチェック機能を活用して作業負担を軽減できます。さらに、従業員が入力した情報を一元管理することで確認作業が簡素化され、より効率的に運用できるようになるでしょう。
基礎控除申告書とは、給与所得者が年末調整で基礎控除の適用を受けるために提出する書類です。
この申告書には、収入金額や所得金額などを正確に記入する必要があり、記入ミスが税額に影響を及ぼすことがあります。特に、給与所得以外の所得がある場合や、所得金額調整控除を受ける場合など注意すべき点が多いため、注意が必要です。
年末調整に向けて、基礎控除申告書の早期案内や配布、回収を迅速に行い、準備を進めましょう。
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基礎控除申告書とは、給与所得者が基礎控除を受けるために提出する重要な書類です。年末調整時に勤務先へ提出し、正確な控除額を申告することで、適切な所得税が計算されます。本記事では、基礎控除申告書の役割や年末調整について詳しく解説し、その書き方や注意点を紹介します。
目次
「給与所得者の基礎控除申告書」とは
「給与所得者の基礎控除申告書」は、給与所得者が基礎控除を受けるために必要な書類です。従業員は給与所得者の基礎控除申告書を、年末調整の際に勤務先へ提出しなければなりません。この申告書を提出することで、適切な基礎控除が適用され、所得税額が正確に計算されます。
以下では、「給与所得者の基礎控除申告書」の役割や、その背景となる「年末調整」について詳しく解説します。
そもそも「年末調整」とは
「年末調整」とは、給与所得者に対して会社が行う所得税の過不足を調整する手続きです。会社は給与や賞与を支給する際、概算で所得税を計算し、毎月源泉徴収します。しかし、この金額は年間の実際の所得税額と一致しないことがあるため、年末に精算が必要となります。
具体的には、1年間の給与収入や適用可能な控除額をもとに正確な税額を再計算し、差額を還付または追加徴収する仕組みです。年末調整により、納税者は確定申告の手間を省けるだけでなく、適正な税負担が反映されます。
年末調整の対象は、「扶養控除等申告書」を勤務先に提出している人であり、給与収入が2,000万円を超える人など一定の人は対象外です。なお、自営業やフリーランスの人は、年末調整ではなく、確定申告で精算をします。
基礎控除の概要
基礎控除は、年末調整で所得税を算出する際に、総所得金額などから差し引ける控除です。控除額は、納税者自身の合計所得金額に応じて、以下の表のとおりに設定されています。
基礎控除額は、合計所得金額が2,400万円以下の場合は一律48万円です。合計所得金額が2,400万円を超えた場合には、控除額は段階的に減少し、2,500万円を超えた段階で基礎控除が適用されなくなります。
参考)国税庁「No.1199 基礎控除」
基礎控除申告に使用する書類
基礎控除申告をする際には、下図の「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という書類を使用します。
この申告書は、2020年の税制改正によって3種類の申告書が1枚に統合された形式になっています。この書類により、「給与所得者の基礎控除」だけでなく、「配偶者控除」や「所得金額調整控除」も申告可能です。
企業は年末調整を受ける従業員にこの申告書を配布し、回収する義務があります。配偶者控除や所得金額調整控除の適用を受けない場合であっても、基礎控除申告書に該当部分を記入し、提出しなければなりません。
※国税庁「令和6年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書兼所得金額調整控除申告書」を引用して加工
給与所得者の基礎控除申告書の書き方と記入例
給与所得者の基礎控除申告書は、年末調整時に提出する重要な書類です。この申告書の記入方法を間違えると、税額に影響を及ぼす可能性があります。ここでは、基礎控除申告書の各項目の記入方法と注意点について、詳しく解説します。
1.収入金額
①の「収入金額」欄には、1年間(1月から12月)の給与収入の総額を記載します。この際、記入する金額は社会保険料や税金が差し引かれる前の課税支給総額です。手取り額を記載しないよう注意が必要です。
年末調整の書類は通常、11月から12月上旬に作成されるため、12月分の給与が確定していない場合もあります。この場合、12月分は概算で見積もり、1月から11月までの確定分と合算して年間の収入額を算出しましょう。
複数の勤務先から給与を受け取っている場合、それぞれの勤務先からの課税支給総額を合算して記入します。
2.所得⾦額
②の「所得金額」は、①の収入金額から給与所得控除額を差し引いて算出します。給与所得控除額は、給与収入の金額によって変わります。
以下の表は、給与収入金額ごとの給与所得控除額と、所得金額を計算するための表です。この表を利用して、所得金額を算出します。
→ ②:(ⓑ) × 2.4 + 100,000円 = 所得金額
→ ②:(ⓑ) × 2.8 - 80,000円 = 所得金額
→ ②:(ⓑ) × 3.2 - 440,000円 = 所得金額
①の収入金額が300万円であった場合は、「給与の収入金額 (ⓐ)」の「1,800,000円以上 3,599,999円以下」に該当するため、以下のとおりに計算します。
よって、②に記載する所得金額は、2,020,000円になります。
参考)国税庁「令和6年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書兼所得金額調整控除申告書」
所得金額調整控除の適用を受ける場合
所得金額調整控除は、給与所得者の総所得金額計算時に適用される控除制度です。
この控除には「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」と「給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除」の2種類があります。
年末調整で適用できるのは「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」のみです。
この控除を受けるには、年末調整時に「所得金額調整控除申告書」を提出する必要があります。扶養控除とは異なり、夫婦双方が条件を満たせば両者とも適用を受けられます。
年末調整における所得金額調整控除の条件と計算方法
「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」の適用条件は以下のとおりです。
控除額の計算式は以下のとおりです。
{給与収入額(1,000万円超の場合は1,000万円)-850万円} × 10%
(1円未満の端数は切り上げ)
3.給与所得以外の所得の合計額
副業や事業所得など、給与所得以外の所得がある場合は、その合計額を③「給与所得以外の所得の合計額」欄に記入します。
基礎控除額は、給与所得に加え、配当所得・不動産所得・事業所得・雑所得など、すべての所得を合計した金額に基づいて計算されます。
その際、記載する金額は売上ではなく、必要経費を差し引いた後の所得金額である点に注意が必要です。
4.合計所得金額の見積額(2と3の合算)
本年中の合計所得金額の見積額欄には、②で算出した給与所得の金額と、③に記載した給与以外の所得の合計額を足した金額を記入します。この「本年中の合計所得金額の見積額」は、基礎控除額を決定する基準となるため、正確さが求められます。
また、申告書へ合計額を記入する際は、計算ミスや記入漏れがないよう注意しましょう。
5.控除額の計算
④の左下には⑤判定表があり、④の「本年中の合計所得金額の見積額」がどのカテゴリーに該当するかを確認します。該当するカテゴリーのチェックボックスにチェックを入れ、その控除額を⑥の欄に記入しましょう。
また、チェックを入れたカテゴリーに(A)(B)(C)(D)のいずれかの記号が付されている場合は、その記号を⑦「区分Ⅰ」欄に記載します。さらに、チェックした金額が定額減税の対象となる場合は、⑧「本人定額減税対象」の欄にもチェックを入れる必要があります。
基礎控除申告書の修正方法
修正箇所には二重線を引き、その上部または下部に訂正内容を記載します。修正液は使用できませんが、訂正印の押印は、必須ではありません。ただし、修正期限には注意が必要です。年末調整に関連する書類の最終提出期限は翌年1月31日であり、それまでに修正を完了させる必要があります。
期限に間に合わない場合は、従業員自身が確定申告で修正を申告しなければなりません。源泉徴収票をもとに、確定申告書を作成して税務署へ提出することになります。
基礎控除申告書の記入ミスで起こりうるリスク
基礎控除申告書の記入ミスは、税金に影響を与えることがあります。ここでは、記入ミスがもたらす具体的なリスクについて解説します。
支払う税金に過不足が発生する
基礎控除申告書の記入ミスがあると、支払う税金に過不足が生じる可能性があるため注意が必要です。
控除額が誤って記入されていた場合、源泉所得税の還付を受けられなくなり、過剰に税金を支払うことになるおそれがあります。そうなると、本来受けるべき還付金を逃してしまうことにつながり、従業員が不利益を被る結果となってしまうでしょう。
所得税が不足している場合、納税者にペナルティが科されます。また、不足分を放置すると、不納付加算税や延滞税が発生し、最終的に高額な金額を支払うことになりかねません。従業員の信用にも悪影響を与えてしまうおそれもあるため、税金の過不足には十分注意が必要です。
従業員の業務負担が増える
基礎控除申告書に記入ミスがあると、再度修正や確認、申請手続きが必要になり、年末調整を担当する従業員の業務負担が増加します。業務量が増えることで、他の業務に割く時間が減り、効率的に作業を進めることが難しくなるおそれもあります。
担当者の負担を軽減するためにも、早期にミスに気づき、迅速に対処できる体制を整えることが重要です。早めの対応が業務の円滑な進行を助け、無駄な手間やコストの削減につながります。
基礎控除申告書の記入ミスを防ぐためのポイント
基礎控除申告書の記入ミスを防ぐためのポイントとして、以下のものが挙げられます。
以下で、それぞれについて解説します。
申告書の配布と回収は早めに行う
年末調整の時期は多くの企業で業務が集中し、担当者の負担が増加します。申告書の提出が遅れると、その後の処理が遅延し、全体のスケジュールに影響を与える可能性があります。したがって、余裕を持ったスケジュールでの配布と回収が重要です。
10月頃から、保険会社などから証明書が発行され始めるため、この時期に年末調整の説明会を実施したり、書類を配布したりすることが効果的です。
複数人で書類をチェックする
基礎控除申告書を正確に記入するためには、複数人で書類をチェックすることが不可欠です。単独で確認するだけでは見落としや誤りが発生しやすいため、他の担当者にも目を通してもらうことで、ミスを早期に発見できます。
年末調整の書類は、法改正や税率変更により頻繁に更新されるため、最新の情報をもとにチェックすることが重要です。複数人で確認することで、新様式への適切な対応や改正内容の反映漏れを防げます。
また、保険加入や家族構成の変更にも注意が必要です。新たな保険加入や、結婚や出産などのライフイベントがあった場合、それらの変更を申告書に反映させる必要があります。これらの項目も含めて複数人でチェックすることで、記入ミスを未然に防ぐようにしましょう。
システムやツールを導入する
基礎控除申告書の記入ミスを防ぐためには、システムやツールの導入が効果的です。手作業での処理はミスが発生しやすいため、専用システムの活用により記入ミスや不備のリスクを大幅に減らせます。
システムを導入することで、入力ミスを減らすだけでなく、自動計算やチェック機能を活用して作業負担を軽減できます。さらに、従業員が入力した情報を一元管理することで確認作業が簡素化され、より効率的に運用できるようになるでしょう。
基礎控除申告書まとめ
基礎控除申告書とは、給与所得者が年末調整で基礎控除の適用を受けるために提出する書類です。
この申告書には、収入金額や所得金額などを正確に記入する必要があり、記入ミスが税額に影響を及ぼすことがあります。特に、給与所得以外の所得がある場合や、所得金額調整控除を受ける場合など注意すべき点が多いため、注意が必要です。
年末調整に向けて、基礎控除申告書の早期案内や配布、回収を迅速に行い、準備を進めましょう。