更新日:2024年11月05日
配偶者控除とは、納税する人に所得要件などを満たした配偶者がいる場合に受けられる所得控除のことです。配偶者が要件を満たさない場合でも、配偶者特別控除の対象になる可能性はあります。本記事で、配偶者控除の適用方法や要件について確認していきましょう。
目次
配偶者控除とは、納税者に控除対象配偶者がいる場合に受けられる所得控除のことを指します。
所得控除とは、所得税額を計算する際に各納税者の個人的事情を加味し、要件を満たす場合に各種所得の合計額から一定額を引ける制度です。配偶者控除以外を含め、合計15種類の所得控除が存在します。
所得控除は、納税者やその配偶者・親族など「人」に関する「人的控除」と、納税者の「支出」に注目した「物的控除」に分類可能です。配偶者控除は、納税者の「配偶者(人)」に関する控除のため、人的控除に該当します。
参考)国税庁「No.1100 所得控除のあらまし」
配偶者控除を受けるためには、納税者の配偶者が一定の要件を満たさなければなりません。配偶者控除対象の「配偶者」とは、以下4つの要件に該当する人のことです。
また、配偶者だけでなく、納税者本人も「合計所得金額が1,000万円以内」という要件を満たさなければなりません。ここから、配偶者控除の要件について詳しく解説します。
民法の規定により効力が生じた婚姻に基づく配偶者であることが、要件のひとつです。
民法第739条には、「婚姻は戸籍法の定めるところにより届け出ることで効力が生じる」旨が定められています。「内縁の妻」のように事実婚の相手方である場合は民法の規定で効力が生じているとはいえないため、配偶者控除対象の「配偶者」に該当しません。
参考)国税庁「No.1191 配偶者控除」 参考)e-Gov 法令検索「民法第七百三十九条」
配偶者が納税者と生計を一にしていることも要件として定められています。
「生計を一にしている」とは、日常生活の財産を共有しているということです。たとえば、同居している夫婦が、水道光熱費や食費などの生活費を互いの財産から出し合って暮らしている場合は「生計を一にしている」に該当します。
「生計を一にする」を満たすにあたって、同居は必須条件ではありません。別居している場合でも、一方から他方に定期的に生活費などの仕送りがある場合は、条件を満たす場合があります。
一方、たとえ同居していても、家の中で生活空間を明確に分けてそれぞれの生活費を自分の収入からまかなっている場合は、「生計を一にする」といえない可能性があるでしょう。
配偶者の年間の合計所得金額や給与収入が上限に収まることも、配偶者控除を受けるための要件です。収入が給与のみの場合は給与収入が103万円以下、給与収入以外がある場合は年間の合計所得金額が48万円以下であることが求められます。
なお、所得とは収入から必要経費を引いた額のことです。ただし、給与所得は給与収入から必要経費を引けない分、あらかじめ定められた一定額(給与所得控除)を引いて計算します。
配偶者が、青色申告者の事業専従者として対象年を通じて一度も給与を受け取っていないことや、白色申告者の事業専従者でないことも、配偶者控除を受けるための要件として定められています。
青色申告とは、一定水準の記帳に基づき正しい申告をすることでいくつかのメリットがある申告制度で、白色申告は青色申告の申請をしていない事業者が申告する制度のことです。事業専従者とは、納税者が経営する事業に従事している配偶者やそのほかの親族(いずれも生計を一にしていることが条件)を指します。
2018年以降、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以内であることも要件として定められました。そのため、仮に納税者の配偶者が4つの要件をすべて満たしていても、納税者の所得が1,000万円を超えると、配偶者控除を受けられません。
なお、納税者本人の合計所得金額が「900万円以下」「900万円超950万円以下」「950万円超1,000万円以下」のいずれかによって、受けられる控除額が異なります。以下の表にまとめました。
なお、老人控除対象配偶者とは、対象年の12月31日時点で70歳以上の配偶者のことです。
参考)国税庁「No.1191 配偶者控除」
配偶者控除と同様に、納税者の配偶者に関する所得控除(人的控除)として、配偶者特別控除があります。配偶者特別控除とは、配偶者が所得条件を満たさず、配偶者控除を受けられない場合に適用できる可能性がある所得控除のことです。
配偶者控除との主な違いとして、以下の点が挙げられます。
それぞれ確認していきましょう。
受けるための所得条件が、主な違いのひとつです。配偶者の所得要件は、配偶者控除が「年間合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入103万円以下)」であるのに対し、配偶者特別控除は「年間の合計所得金額が48万円超133万円以下」と定められています。
また、配偶者控除で満たす必要がある要件は、配偶者特別控除でも満たさなければ控除を受けられません。そのほかにも、配偶者特別控除には配偶者の源泉徴収有無に関する要件が定められています。
適用できる控除額も、ふたつの所得控除の違いです。
配偶者控除は、納税者本人の合計所得金額(3段階)や、一般の控除対象配偶者か老人控除対象配偶者かによって、控除額が13万〜48万円で設定されています。一方、配偶者特別控除では、配偶者の合計所得金額を9段階、納税者本人の合計所得金額を3段階に分け、1万〜38万円の控除額が設定されている点が特徴です。
参考)国税庁「No.1195 配偶者特別控除」
配偶者控除は、いわゆる「年収の壁」との関係が深いです。ここから詳しく解説します。
配偶者控除で配偶者に求められる要件のひとつとして、「給与収入:103万円以内(給与収入のみの場合)」があります。そのため、配偶者の年収が、納税者本人の税額を左右するのです。
年収103万円の壁は、配偶者本人の税金にも関係します。配偶者がスーパーマーケットのパートで給与収入のみを得ているケースを考えてみましょう。
給与所得は、勤務先のスーパーマーケットから受け取る給与収入から給与所得控除を引いて計算します。給与収入が162万5,000円以内の場合、給与所得控除は55万円です。
また、合計所得金額が2,500万円以内であれば、誰でも基礎控除(16万〜48万円)を合計所得から引けます。合計所得金額が2,400万円以下の場合、基礎控除額は48万円です。
よって、給与収入が103万円の場合の課税所得は0円となり、配偶者自身に所得税がかかりません。
参考)国税庁「No.1410 給与所得控除」 参考)国税庁「No.1199 基礎控除」
年収150万円の壁は、配偶者特別控除を満額適用できるかの基準を示した言葉です。
納税者本人の合計所得金額が900万円以下の場合、配偶者の合計所得金額が「48万円超95万円以下」であれば、配偶者特別控除の最大額である38万円を適用できます。つまり、配偶者の給与収入が150万円(95万円 + 給与所得控除55万円)までであれば、満額控除を受けられるのです。
配偶者控除・配偶者特別控除を受けられるかどうかは、原則として対象年の12月31日時点の状況で判断する点に注意しましょう。
たとえば、1年の途中で離婚した場合は、当時配偶者が所得要件などを満たしていても、配偶者控除を受けられません。なぜなら、12月31日時点で配偶者がいなければ、その年は1年を通じて配偶者がいなかったものと判断されるためです。
また、納税者本人の所得が配偶者控除・配偶者特別控除の額に影響する点にも注意しなければなりません。配偶者の合計所得が95万円以下でも、納税者本人の合計所得が「950万円超1,000万円以下」であれば、配偶者特別控除の額は13万円です。
年末調整とは源泉徴収された税額の年間の合計額と、年税額を一致させるための精算手続きのことです。給与の収入金額が2,000万円を超えるなど一定の場合を除き、勤務先に「扶養控除等申告書」を提出している人は基本的に年末調整で対応できます。
配偶者控除を年末調整で受けるための手続きは、以下のとおりです。
各手順について解説します。
年末調整時期(11〜12月)が近づいたら、必要書類を用意します。書類は勤務先の所管部署から渡されることが一般的です。
年末調整書類を以下にまとめました。
書類の記載例やフォーマットは、国税庁のサイトからも確認できます。
参考)国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和6年分)」
書類が揃ったら必要事項に記入し、勤務先に提出します。
配偶者控除を適用するため、とくに記載が必要な部分が「基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の「給与所得者の配偶者控除等申告書」欄です。個人番号や生年月日など配偶者の基本的な情報を記入したら、収入金額や所得金額などを埋めていきましょう。
掲載されている表を確認すれば、適用できるのが配偶者控除なのか配偶者特別控除なのか、控除額がいくらなのかがひと目でわかります。
確定申告とは、1年間(毎年1月1日から12月31日まで)に生じた所得とそれに対する所得税額を計算して確定するための手続きのことです。給与収入が2,000万円以内の会社員でも、副業による一定の所得がある場合や医療費控除を受ける場合、年末調整で所得控除を適用し忘れていた場合などで、確定申告することがあります。
配偶者控除を確定申告で受けるための流れは、以下のとおりです。
各手順について、解説します。
参考)国税庁「No.2020 確定申告」
確定申告書類を用意し、収入や所得を記入していきましょう。配偶者控除を受ける場合は、確定申告書第一表の左側にある「所得から差し引かれる金額」にある「配偶者(特別)控除」に記入することがポイントです。
配偶者控除の場合、区分1への記載は必要ありません。また、区分2は、配偶者が国外居住親族の場合に限り、記入する部分です。さらに、「0000」の前に今回の適用額(万円)を記入します。
配偶者控除を受けるにあたって、第二表の「配偶者や親族に関する事項」にも記入が必要です。配偶者の氏名・マイナンバー・生年月日などの基本情報を記入しましょう。
また、配偶者が障害者の場合に、障害者であれば「障」、特別障害者であれば「特障」に◯をつけます。配偶者が国外に居住している場合は、「国外」「別居」にも◯をつけなければなりません。
確定申告書の記載や入力を終えたら、所轄の税務署に提出します。提出方法は、以下の3種類です。
なお、確定申告書の提出期限は対象年の翌2月16日から3月15日までです。忘れずに申告しましょう。
配偶者控除は配偶者の年間合計所得が48万円以下(給与収入のみなら年収103万円以下)の場合に受けられる可能性がある所得控除です。また、配偶者が所得要件を満たさない場合でも、配偶者特別控除を受けられることがあります。
配偶者控除と配偶者特別控除の違いは、配偶者の所得要件や控除額です。自分が受けられる控除の種類や金額を理解したうえで、年末調整や確定申告時に忘れずに手続きしましょう。
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配偶者控除とは、納税する人に所得要件などを満たした配偶者がいる場合に受けられる所得控除のことです。配偶者が要件を満たさない場合でも、配偶者特別控除の対象になる可能性はあります。本記事で、配偶者控除の適用方法や要件について確認していきましょう。
目次
配偶者控除とは
配偶者控除とは、納税者に控除対象配偶者がいる場合に受けられる所得控除のことを指します。
所得控除とは、所得税額を計算する際に各納税者の個人的事情を加味し、要件を満たす場合に各種所得の合計額から一定額を引ける制度です。配偶者控除以外を含め、合計15種類の所得控除が存在します。
所得控除は、納税者やその配偶者・親族など「人」に関する「人的控除」と、納税者の「支出」に注目した「物的控除」に分類可能です。配偶者控除は、納税者の「配偶者(人)」に関する控除のため、人的控除に該当します。
参考)国税庁「No.1100 所得控除のあらまし」
配偶者控除対象の「配偶者」とは
配偶者控除を受けるためには、納税者の配偶者が一定の要件を満たさなければなりません。配偶者控除対象の「配偶者」とは、以下4つの要件に該当する人のことです。
また、配偶者だけでなく、納税者本人も「合計所得金額が1,000万円以内」という要件を満たさなければなりません。ここから、配偶者控除の要件について詳しく解説します。
民法の規定による「配偶者」である
民法の規定により効力が生じた婚姻に基づく配偶者であることが、要件のひとつです。
民法第739条には、「婚姻は戸籍法の定めるところにより届け出ることで効力が生じる」旨が定められています。「内縁の妻」のように事実婚の相手方である場合は民法の規定で効力が生じているとはいえないため、配偶者控除対象の「配偶者」に該当しません。
参考)国税庁「No.1191 配偶者控除」
参考)e-Gov 法令検索「民法第七百三十九条」
納税者と生計を一にしている
配偶者が納税者と生計を一にしていることも要件として定められています。
「生計を一にしている」とは、日常生活の財産を共有しているということです。たとえば、同居している夫婦が、水道光熱費や食費などの生活費を互いの財産から出し合って暮らしている場合は「生計を一にしている」に該当します。
「生計を一にする」を満たすにあたって、同居は必須条件ではありません。別居している場合でも、一方から他方に定期的に生活費などの仕送りがある場合は、条件を満たす場合があります。
一方、たとえ同居していても、家の中で生活空間を明確に分けてそれぞれの生活費を自分の収入からまかなっている場合は、「生計を一にする」といえない可能性があるでしょう。
年間の合計所得金額や給与収入が上限に収まる
配偶者の年間の合計所得金額や給与収入が上限に収まることも、配偶者控除を受けるための要件です。収入が給与のみの場合は給与収入が103万円以下、給与収入以外がある場合は年間の合計所得金額が48万円以下であることが求められます。
なお、所得とは収入から必要経費を引いた額のことです。ただし、給与所得は給与収入から必要経費を引けない分、あらかじめ定められた一定額(給与所得控除)を引いて計算します。
青色申告者の事業専従者として給与を受け取っていない
配偶者が、青色申告者の事業専従者として対象年を通じて一度も給与を受け取っていないことや、白色申告者の事業専従者でないことも、配偶者控除を受けるための要件として定められています。
青色申告とは、一定水準の記帳に基づき正しい申告をすることでいくつかのメリットがある申告制度で、白色申告は青色申告の申請をしていない事業者が申告する制度のことです。事業専従者とは、納税者が経営する事業に従事している配偶者やそのほかの親族(いずれも生計を一にしていることが条件)を指します。
納税者本人の合計所得金額が1,000万円以内
2018年以降、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以内であることも要件として定められました。そのため、仮に納税者の配偶者が4つの要件をすべて満たしていても、納税者の所得が1,000万円を超えると、配偶者控除を受けられません。
なお、納税者本人の合計所得金額が「900万円以下」「900万円超950万円以下」「950万円超1,000万円以下」のいずれかによって、受けられる控除額が異なります。以下の表にまとめました。
合計所得金額
一般の控除対象配偶者
老人控除対象配偶者
なお、老人控除対象配偶者とは、対象年の12月31日時点で70歳以上の配偶者のことです。
参考)国税庁「No.1191 配偶者控除」
配偶者特別控除とは(配偶者控除との違い)
配偶者控除と同様に、納税者の配偶者に関する所得控除(人的控除)として、配偶者特別控除があります。配偶者特別控除とは、配偶者が所得条件を満たさず、配偶者控除を受けられない場合に適用できる可能性がある所得控除のことです。
配偶者控除との主な違いとして、以下の点が挙げられます。
それぞれ確認していきましょう。
配偶者控除・配偶者特別控除の違い1:条件
受けるための所得条件が、主な違いのひとつです。配偶者の所得要件は、配偶者控除が「年間合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入103万円以下)」であるのに対し、配偶者特別控除は「年間の合計所得金額が48万円超133万円以下」と定められています。
また、配偶者控除で満たす必要がある要件は、配偶者特別控除でも満たさなければ控除を受けられません。そのほかにも、配偶者特別控除には配偶者の源泉徴収有無に関する要件が定められています。
配偶者控除・配偶者特別控除の違い2:適用額
適用できる控除額も、ふたつの所得控除の違いです。
配偶者控除は、納税者本人の合計所得金額(3段階)や、一般の控除対象配偶者か老人控除対象配偶者かによって、控除額が13万〜48万円で設定されています。一方、配偶者特別控除では、配偶者の合計所得金額を9段階、納税者本人の合計所得金額を3段階に分け、1万〜38万円の控除額が設定されている点が特徴です。
参考)国税庁「No.1195 配偶者特別控除」
配偶者控除と年収の壁の関係
配偶者控除は、いわゆる「年収の壁」との関係が深いです。ここから詳しく解説します。
配偶者控除と年収103万円の壁の関係
配偶者控除で配偶者に求められる要件のひとつとして、「給与収入:103万円以内(給与収入のみの場合)」があります。そのため、配偶者の年収が、納税者本人の税額を左右するのです。
年収103万円の壁は、配偶者本人の税金にも関係します。配偶者がスーパーマーケットのパートで給与収入のみを得ているケースを考えてみましょう。
給与所得は、勤務先のスーパーマーケットから受け取る給与収入から給与所得控除を引いて計算します。給与収入が162万5,000円以内の場合、給与所得控除は55万円です。
また、合計所得金額が2,500万円以内であれば、誰でも基礎控除(16万〜48万円)を合計所得から引けます。合計所得金額が2,400万円以下の場合、基礎控除額は48万円です。
よって、給与収入が103万円の場合の課税所得は0円となり、配偶者自身に所得税がかかりません。
参考)国税庁「No.1410 給与所得控除」
参考)国税庁「No.1199 基礎控除」
配偶者控除と年収150万円の壁の関係
年収150万円の壁は、配偶者特別控除を満額適用できるかの基準を示した言葉です。
納税者本人の合計所得金額が900万円以下の場合、配偶者の合計所得金額が「48万円超95万円以下」であれば、配偶者特別控除の最大額である38万円を適用できます。つまり、配偶者の給与収入が150万円(95万円 + 給与所得控除55万円)までであれば、満額控除を受けられるのです。
配偶者控除の注意点
配偶者控除・配偶者特別控除を受けられるかどうかは、原則として対象年の12月31日時点の状況で判断する点に注意しましょう。
たとえば、1年の途中で離婚した場合は、当時配偶者が所得要件などを満たしていても、配偶者控除を受けられません。なぜなら、12月31日時点で配偶者がいなければ、その年は1年を通じて配偶者がいなかったものと判断されるためです。
また、納税者本人の所得が配偶者控除・配偶者特別控除の額に影響する点にも注意しなければなりません。配偶者の合計所得が95万円以下でも、納税者本人の合計所得が「950万円超1,000万円以下」であれば、配偶者特別控除の額は13万円です。
配偶者控除を年末調整で適用する方法
年末調整とは源泉徴収された税額の年間の合計額と、年税額を一致させるための精算手続きのことです。給与の収入金額が2,000万円を超えるなど一定の場合を除き、勤務先に「扶養控除等申告書」を提出している人は基本的に年末調整で対応できます。
配偶者控除を年末調整で受けるための手続きは、以下のとおりです。
各手順について解説します。
1. 必要書類を準備する
年末調整時期(11〜12月)が近づいたら、必要書類を用意します。書類は勤務先の所管部署から渡されることが一般的です。
年末調整書類を以下にまとめました。
書類の記載例やフォーマットは、国税庁のサイトからも確認できます。
参考)国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和6年分)」
2. 勤務先に書類を提出する
書類が揃ったら必要事項に記入し、勤務先に提出します。
配偶者控除を適用するため、とくに記載が必要な部分が「基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の「給与所得者の配偶者控除等申告書」欄です。個人番号や生年月日など配偶者の基本的な情報を記入したら、収入金額や所得金額などを埋めていきましょう。
掲載されている表を確認すれば、適用できるのが配偶者控除なのか配偶者特別控除なのか、控除額がいくらなのかがひと目でわかります。
配偶者控除を確定申告で適用する方法
確定申告とは、1年間(毎年1月1日から12月31日まで)に生じた所得とそれに対する所得税額を計算して確定するための手続きのことです。給与収入が2,000万円以内の会社員でも、副業による一定の所得がある場合や医療費控除を受ける場合、年末調整で所得控除を適用し忘れていた場合などで、確定申告することがあります。
配偶者控除を確定申告で受けるための流れは、以下のとおりです。
各手順について、解説します。
参考)国税庁「No.2020 確定申告」
1. 確定申告書に金額を記載する
確定申告書類を用意し、収入や所得を記入していきましょう。配偶者控除を受ける場合は、確定申告書第一表の左側にある「所得から差し引かれる金額」にある「配偶者(特別)控除」に記入することがポイントです。
配偶者控除の場合、区分1への記載は必要ありません。また、区分2は、配偶者が国外居住親族の場合に限り、記入する部分です。さらに、「0000」の前に今回の適用額(万円)を記入します。
2. 配偶者や親族に関する事項に記載する
配偶者控除を受けるにあたって、第二表の「配偶者や親族に関する事項」にも記入が必要です。配偶者の氏名・マイナンバー・生年月日などの基本情報を記入しましょう。
また、配偶者が障害者の場合に、障害者であれば「障」、特別障害者であれば「特障」に◯をつけます。配偶者が国外に居住している場合は、「国外」「別居」にも◯をつけなければなりません。
3. 確定申告書を提出する
確定申告書の記載や入力を終えたら、所轄の税務署に提出します。提出方法は、以下の3種類です。
なお、確定申告書の提出期限は対象年の翌2月16日から3月15日までです。忘れずに申告しましょう。
配偶者控除まとめ
配偶者控除は配偶者の年間合計所得が48万円以下(給与収入のみなら年収103万円以下)の場合に受けられる可能性がある所得控除です。また、配偶者が所得要件を満たさない場合でも、配偶者特別控除を受けられることがあります。
配偶者控除と配偶者特別控除の違いは、配偶者の所得要件や控除額です。自分が受けられる控除の種類や金額を理解したうえで、年末調整や確定申告時に忘れずに手続きしましょう。