扶養控除とは~扶養親族とは誰のこと?~

扶養控除

扶養控除とは、税金を納める本人に扶養親族がいる場合に受けられる所得控除(人的控除)のことです。親族を養っている納税者の経済的な負担を軽減するために設けられた制度で、対象の扶養親族一人につき、所定の扶養控除が受けられます。なお、配偶者の場合には配偶者控除の対象になるため、扶養控除は受けられません。※2020年11月3日に更新

扶養控除の3つのポイント

  • 扶養控除とは、納税者本人に扶養親族がいる場合に受けられる所得控除のことである。
  • 扶養控除は、対象の扶養親族一人につき、所定の扶養控除が受けられる。
  • 扶養控除の「扶養親族」には年齢の条件があり、該当するのは16歳以上の扶養親族のみ。

扶養親族とは誰のことか?

扶養親族となるには、以下の要件すべてに該当する必要あります。

6親等内の血族もしくは3親等内の姻族(配偶者を除く)

血族とは納税者本人の親族のことで、姻族とは納税者の配偶者(夫や妻)の親族のことです。扶養親族には、納税者本人の子どもだけでなく、親や祖父母など、上の世代も対象になります。

納税者と生計を一にしている

扶養親族になるには、納税者と親族が同一生計である必要があります。納税者の収入で生活している親族であれば、同居していなくとも構いません。納税者が単身赴任などで別居している場合に納税者の仕送りで生活する親族や、納税者が療養費を支払っている入院中の親族なども同一生計として扶養親族になります。

年間の所得が48万円以下である

親族に所得がある場合、所得の金額によって扶養親族の対象になるかどうかが変わってきます。たとえば、子供がパートで給料を受け取っている場合、年間の所得(収入-給与所得控除)が48万円(年収なら103万円)を超える場合は納税者の扶養から外れるため、扶養親族になれません。

また、親族が年金受給者の場合、年金額が158万円以下の65歳以上の親族、または年金額が108万以下の65歳未満の親族を扶養する場合は扶養親族となります。

青色申告者の事業専従者ではない

扶養親族となるには、親族が青色申告の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払を受けていない(または、白色申告者の事業専従者でない)ことが必要です。

扶養控除の対象は16歳以上

扶養控除申告書のイメージ

誤解されやすい点ですが、扶養親族であれば扶養控除の対象になる、というわけではありません。控除対象扶養親族に該当するのは、その年の12月31日時点で16歳以上の扶養親族のみです。16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)は、平成23年の法改正で子ども手当(現:児童手当)の対象になったことに伴い、扶養控除からは除外されました。16歳未満の扶養親族については、扶養控除申告書の下部にある「住民税に関する事項」に記載します。これにより、住民税の非課税基準額が算定されます。

なお、対象となる親族が年度の途中で死亡した場合は、死亡した時点で前述の要件を満たしていれば扶養親族に該当し、扶養控除を受けられます。

扶養控除の控除額は4種類

  • 一般の扶養親族(16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満):所得税で38万円、住民税で33万円
  • 特定扶養親族(19歳以上23歳未満):所得税で63万円、住民税で45万円
  • 老人扶養親族(70歳以上、同居老親等※):所得税で58万円、住民税で45万円
  • 老人扶養親族(70歳以上、同居老親等以外):所得税で48万円、住民税で38万円

※同居老親等とは、老人扶養親族のうち、納税者又は配偶者の直系の尊属(父母や祖父母など)で、納税者または配偶者と普段同居している人です。

非居住者である親族とは

平成27年度の税制改正をうけ、平成28年度分の扶養控除等(異動)申告書から「非居住者である親族」の項目が追加されました。扶養親族のうち国外に居住している人がいる場合には、この項目に○をつけ、親族関係書類(戸籍の写しなど)と、送金関係書類(金融機関発行の支払いを証明する書類など)を添付または提示する必要があります。

一人暮らしの子どもを扶養している場合

要注意なのは、離れて暮らしている子供がいる従業員。一人暮らしの子供が、アルバイトで年収103万円以上になってしまった。このことを親(従業員)が知らずに、年末調整してしまうことがあります。結果、年末調整の是正を求められることになってしまうのです。

親に仕送りしている場合

たとえば、従業員が離れて暮らしている実家の親に生活費を仕送りしているとき、親も扶養親族になります。従業員と親が「生計を一にしている」かどうかがポイントです。ほかにも、仕送り先の親を扶養親族とするには条件があります。親の収入(年金やパート代、家賃など)より、仕送りの額が多いことです。ちなみに、従業員に兄弟がいて、両方から親に仕送りしているとします。このとき、兄弟二人が親を扶養親族にすることは認められません。

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