扶養控除等申告書とは何か?

扶養控除等申告書

扶養控除等申告書(給与所得者の扶養控除等(異動)申告書)とは、従業員が年末調整の際に「扶養控除」「障害者控除」「寡婦控除」「ひとり親控除」「勤労学生控除」を受けるための書類です。「ひとり親控除」は、令和2年度の税制改正で新設されました。※2020年10月27日更新

扶養控除等申告書の提出期限

扶養控除等申告書の提出期限は、その年の初めての給与支給日の前日です。1月25日支給であれば、提出期限は1月24日です。しかし実務的には、年末調整の際に扶養控除等申告書を提出することが多いようです。なぜなら、扶養控除等申告書の記載内容をもとに、その年の源泉徴収税額を計算するからです。支給日の前日に会社に扶養控除等申告書を提出すると、給与計算担当者の業務負担が大きくなってしまいます(たぶん、恨まれます…)。

年末調整で提出するのは今年と翌年の扶養控除等申告書

年末調整の際に会社に提出するのは、今年と翌年の扶養控除等申告書になります。令和2年の年末調整時には、令和2年の扶養控除等申告書と、令和3年の扶養控除等申告書を提出することになります。今年の扶養控除等申告書は前年の年末調整時に提出しているのですが、確定版という形で改めて提出します。

※令和2年分「給与所得者の扶養控除等申告書」

※令和3年分「給与所得者の扶養控除等申告書」

扶養控除等申告書の書き方

扶養控除等申告書を書いたことがない、昨年にも記入したものの忘れてしまったという方も多いと思います。記入項目のいくつかを紹介しますが、詳しくは国税庁の資料を参考にしてください。※参照:国税庁:扶養控除等申告書の記載例

  • 給与の支払い者の法人(個人)番号…給与支払者が法人であれば法人番号、個人であれば個人番号。法人番号が分からない場合は、国税庁の国税庁法人番号公表サイトで確認できます。
  • 所轄税務署長等…給与支払者(会社など)の所轄税務署長と、従業員の住所地等の市区町村
  • 従たる給与についての扶養控除等申告書の提出…副業している等で2箇所以上から給与をもらっている人が、本紙の給与支払者と別の給与支払者に「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出しているか否か(提出していたら◯をつける)
  • 源泉控除対象配偶者…後述
  • 控除対象扶養親族…その年の12月31日に16歳以上の扶養親族
  • 同一生計配偶者…後述
  • 非居住者である親族…日本国内に住所がなく、かつ現在まで引き続いて1年以上、日本国内に居所をもたない親族(いれば◯をつける)
  • 特定扶養親族…その年の12月31日に19歳以上23歳未満の親族(いればチェックをつける)
  • 16歳未満の扶養親族…その年の12月31日に16歳未満の扶養親族

配偶者や扶養親族がいなければ提出しない?

扶養対象となる配偶者や、扶養親族に該当する人がいない場合でも、給与支払者(会社など)へ扶養控除等申告書を提出する必要があります。

年の途中で退職した場合には前職の源泉徴収票が必要

年の中途で就職した方は、前の勤務先から交付された源泉徴収票を添付して扶養控除等申告書を提出します。

2ヶ所以上から給与をもらっている場合は?

2か所以上から給与の支払いを受けている人は、そのうちの1カ所(主たる勤務先)のみに扶養控除等申告書を提出します。両方に提出する必要はありません。ただし、主たる勤務先での源泉徴収税額が0円の場合など、主たる勤務先から支給される給与から控除しきれなかったときは、従たる勤務先にも扶養控除等申告書を提出します。

提出した扶養控除等申告書の内容に変更があったら?

年末調整のときに会社へ提出した扶養控除等申告書の記載内容に変更があったときは、その内容等を記載した扶養控除等申告書を会社に提出します。その提出期限は、変更があった日の後の、最初の給与支給日の前日です。給与計算担当者の業務負担を考えると、変更があったら、すぐに提出しておくとよいでしょう。

扶養控除等申告書で受けられる所得控除

扶養控除等申告書で受けられる所得控除は、以下の控除です。なお、扶養控除等申告書には源泉控除対象配偶者(後述)を記載する欄がありますが、配偶者控除または配偶者特別控除を受ける場合には、別に「給与所得者の基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」を給与支払者(会社)へ提出する必要があります。

扶養控除

扶養控除は、控除対象扶養親族(その年の12月31日に16歳以上の扶養親族)がいる場合に受けられます。参考)扶養控除とは

障害者控除

障害者控除は、本人、または同一生計配偶者や扶養親族が障害者に該当する場合に受けられます。参考)障害者控除とは

寡婦控除

は、夫と離婚または死別した後に再婚していない女性で、一定の要件を満たす者が受けられます。なお、令和2年度税制改正により、従来寡夫又は特別の寡婦に該当していた者のうち一定の要件を満たす者には、ひとり親控除が適用されることになりました。参考)寡婦控除とは

ひとり親控除

令和2年度税制改正により新設されました。ひとり親控除は、未婚のひとり親のうち一定の要件を満たす者が受けられます。参考)ひとり親控除とは

勤労学生控除

勤労学生控除は、本人が学生で一定の要件を満たす場合に受けられます。参考)勤労学生控除とは

配偶者の定義が分かりにくくなった?

源泉控除対象配偶者とは

2017年の書式変更により、扶養控除等申告書に「源泉控除対象配偶者」「同一生計配偶者」という文言が記載されました。ちなみに、配偶者には「控除対象配偶者」も存在します。ややこしいですね…。主に異なるのは、納税者と配偶者の所得(年収)制限ですので、その部分を中心に解説します。なお、源泉控除対象配偶者は、扶養親族の人数を数えるときに1人分として加算されます。

源泉控除対象配偶者

  • 納税者の所得:900万円以下(給与所得だけなら年収1,120万円以下)
  • 配偶者の所得:95万円以下(給与所得だけなら年収150万円以下)

控除対象配偶者

  • 納税者の所得:1,000万円以下(給与所得だけなら年収1,220万円以下)
  • 配偶者の所得:48万円以下(給与所得だけなら年収103万円以下)

同一生計配偶者(旧、控除対象配偶者)

  • 納税者の所得:制限なし
  • 配偶者の所得:48万円以下(給与所得だけなら年収103万円以下)

※その他の条件は共通していますので、簡単に紹介します。

  • 民法上の配偶者である(婚姻届を受理されている。内縁の妻は非該当。)
  • 納税者と同一生計である
  • 青色申告の専従者として、その年に1度も給与を受け取っていない
  • 白色申告の専従者ではない

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