誤解されることが多いようですが、アルバイトやパートも条件を満たしたら年次有給休暇が与えられます。しかも、出勤の状況などの条件によっては正社員と同じ日数の有給休暇をもらえる場合も(現実的に消化できるかは別にして)。今回は、そのあたりの条件や日数も解説します。※2020年10月10日に更新
対象になるのは、週の労働時間が30時間以上かつ、1週間の労働日が5日または1年間の労働日が217日以上の人です。有給休暇の日数は、働き始めて半年後に10日、1年半後に11日、2年半後に12日、3年半後に14日という風に、1年ごとに支給される有給日数が増えていきます。注意が必要なのは、6年半後の20日をピークに、日数が一定になることです。また、有給として権利が与えられてから2年後に、その権利は消滅してしまいます。
対象になるのは、週の労働時間が30時間未満かつ、1週間の労働日が週4日以下または1年間の労働日が216日以下の人です。該当する人は、以下の表の日数の有給休暇が与えられます。見てのとおり、正社員よりも有給の日数が少なくなります。多く働けば働くほど、休む権利も大きくなるというわけです。
もっとも気になるのは、有給休暇を取得した場合に受け取れるお金、つまり給料ですよね。労働基準法では、有給をとったときの給料について規定しています。以下の3つのうちから1つを事業主が選んで、就業規則(会社のルールブック)などで定めなければなりません。事前に、どういった取り決めになっているのか確認しましょう。
最もわかりやすい決め方です。通常どおり働いたときの給料をもらえます。時給1,000円で1日8時間の勤務であれば、給料は8,000円です。それに各種手当が加わります。
平均賃金とは、過去3カ月間に支払われた賃金総額を、過去3ヶ月の歴日数で割った平均値です。歴日数とは暦の上での日数のことで、働いた日数ではありません。お気づきのとおり、この計算方法だとアルバイトやパートの人で、労働日数が少ない人は不利になってしまいます。そこで、事業主は以下の方法で計算した金額と平均賃金とを比べて、高い方を採用することが義務づけられています。
標準報酬日額とは、標準報酬月額を30で割った額(10円未満四捨五入)です。この方法を採用する場合は、労使協定を結ばなければなりません。また、事業主が健康保険に加入している必要があります。
というわけで、フルタイムではないアルバイトやパートの人でも、有給休暇を取得できることが分かりましたね。では、アルバイトやパートの人が有給を取れているのかと言うと、現実的には難しい事情があります。ちなみに、日本の有給消化率は2016年で50%を切っており、調査対象の28カ国で最下位でした。「1億総働きすぎ社会」なのです。ちなみに、有給を取りにくい理由には以下のような原因が考えられます。
意外にも、アルバイトやパートでも有給が与えられるという点を知らない、企業の経営者や現場の管理者の方々がいます。そういった人の下で働いていると、そもそも有給があるという説明すら受けられません。「有給なんですけど…」と相談したところで「そんなもの知らない(無い)よ」とでも言われてしまい、話が終わってしまう可能性があります。
毎月のシフト調整で、社員とアルバイトが激しい争いを繰り広げているような職場、ありますよね。そういった環境下だと「有給をとって休みます」と言いにくい場合があります。「だったらシフトを入れなよ」というプレッシャーをかけられたりして。また、休まれると業務に支障が出るなどの理由で、申請された有給の取得日を変更すべく、雇い主が従業員と交渉する権利も認められています(時季変更権といいます。ただし、圧倒的に従業員の権利が強く保証されています)。
制度としては存在しても、アルバイトやパートの人が有給をとったことのない職場の場合、有給を申請する手続きも決まっていないことがあります。そうなると、「有給とりたいんですけど」「有給?どうやって取ればいいんだろうね。じゃあ、調べてみるよ!」と明るく返事されたままで話が進まないことも。
前述のとおり、日本の有給取得率は低くなっています。そして、アルバイトやパートにも有給があることを知らない人が、まだまだ多くいるのが現実です。そうなると、今すぐ「有給とります」と言うだけでは、実際には有給を消化できないかもしれません(繰り返しますが、有給休暇は労働者に与えられた権利です。いつ、どんな理由で休もうとも、事業主にその理由を報告する義務もありません)。まずは、アルバイトやパートにも年次有給休暇が存在するということを、世間に知らしめていくことが大事かもしれませんね。
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誤解されることが多いようですが、アルバイトやパートも条件を満たしたら年次有給休暇が与えられます。しかも、出勤の状況などの条件によっては正社員と同じ日数の有給休暇をもらえる場合も(現実的に消化できるかは別にして)。今回は、そのあたりの条件や日数も解説します。※2020年10月10日に更新
正社員と同じ有給をもらえる場合
対象になるのは、週の労働時間が30時間以上かつ、1週間の労働日が5日または1年間の労働日が217日以上の人です。有給休暇の日数は、働き始めて半年後に10日、1年半後に11日、2年半後に12日、3年半後に14日という風に、1年ごとに支給される有給日数が増えていきます。注意が必要なのは、6年半後の20日をピークに、日数が一定になることです。また、有給として権利が与えられてから2年後に、その権利は消滅してしまいます。
正社員と条件が異なる場合
対象になるのは、週の労働時間が30時間未満かつ、1週間の労働日が週4日以下または1年間の労働日が216日以下の人です。該当する人は、以下の表の日数の有給休暇が与えられます。見てのとおり、正社員よりも有給の日数が少なくなります。多く働けば働くほど、休む権利も大きくなるというわけです。
有給をとったときの給料は?
もっとも気になるのは、有給休暇を取得した場合に受け取れるお金、つまり給料ですよね。労働基準法では、有給をとったときの給料について規定しています。以下の3つのうちから1つを事業主が選んで、就業規則(会社のルールブック)などで定めなければなりません。事前に、どういった取り決めになっているのか確認しましょう。
所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
最もわかりやすい決め方です。通常どおり働いたときの給料をもらえます。時給1,000円で1日8時間の勤務であれば、給料は8,000円です。それに各種手当が加わります。
平均賃金
平均賃金とは、過去3カ月間に支払われた賃金総額を、過去3ヶ月の歴日数で割った平均値です。歴日数とは暦の上での日数のことで、働いた日数ではありません。お気づきのとおり、この計算方法だとアルバイトやパートの人で、労働日数が少ない人は不利になってしまいます。そこで、事業主は以下の方法で計算した金額と平均賃金とを比べて、高い方を採用することが義務づけられています。
健康保険の標準報酬日額
標準報酬日額とは、標準報酬月額を30で割った額(10円未満四捨五入)です。この方法を採用する場合は、労使協定を結ばなければなりません。また、事業主が健康保険に加入している必要があります。
じゃあ、有給をとれるのかというと…
というわけで、フルタイムではないアルバイトやパートの人でも、有給休暇を取得できることが分かりましたね。では、アルバイトやパートの人が有給を取れているのかと言うと、現実的には難しい事情があります。ちなみに、日本の有給消化率は2016年で50%を切っており、調査対象の28カ国で最下位でした。「1億総働きすぎ社会」なのです。ちなみに、有給を取りにくい理由には以下のような原因が考えられます。
この事実を知らない人が経営しているから
意外にも、アルバイトやパートでも有給が与えられるという点を知らない、企業の経営者や現場の管理者の方々がいます。そういった人の下で働いていると、そもそも有給があるという説明すら受けられません。「有給なんですけど…」と相談したところで「そんなもの知らない(無い)よ」とでも言われてしまい、話が終わってしまう可能性があります。
人手が足りなすぎて休みにくいから
毎月のシフト調整で、社員とアルバイトが激しい争いを繰り広げているような職場、ありますよね。そういった環境下だと「有給をとって休みます」と言いにくい場合があります。「だったらシフトを入れなよ」というプレッシャーをかけられたりして。また、休まれると業務に支障が出るなどの理由で、申請された有給の取得日を変更すべく、雇い主が従業員と交渉する権利も認められています(時季変更権といいます。ただし、圧倒的に従業員の権利が強く保証されています)。
前例がなく社内ルールもないに等しいから
制度としては存在しても、アルバイトやパートの人が有給をとったことのない職場の場合、有給を申請する手続きも決まっていないことがあります。そうなると、「有給とりたいんですけど」「有給?どうやって取ればいいんだろうね。じゃあ、調べてみるよ!」と明るく返事されたままで話が進まないことも。
まずは事実を周知しましょう
前述のとおり、日本の有給取得率は低くなっています。そして、アルバイトやパートにも有給があることを知らない人が、まだまだ多くいるのが現実です。そうなると、今すぐ「有給とります」と言うだけでは、実際には有給を消化できないかもしれません(繰り返しますが、有給休暇は労働者に与えられた権利です。いつ、どんな理由で休もうとも、事業主にその理由を報告する義務もありません)。まずは、アルバイトやパートにも年次有給休暇が存在するということを、世間に知らしめていくことが大事かもしれませんね。
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