更新日:2024年08月29日
定時決定は、社会保険料を適正に算出するための手続きです。毎年行われるこの手続きは、従業員の実際の給与と標準報酬月額のかい離を防ぐために実施されます。本記事では、定時決定の必要性や対象者、算定基礎届の提出方法など、雇用主が知っておくべき重要なポイントを詳しく解説します。
目次
定時決定とは、毎年9月から翌年8月までの1年間に適用される「標準報酬月額」を確定するための手続きです。健康保険・介護保険・厚生年金保険の社会保険料は、給与に応じて年に一度見直されます。
定時決定は、7月1日時点で雇用されている全従業員を対象に毎年7月上旬に実施し、4月・5月・6月の報酬から算出した標準報酬月額に基づいて社会保険料が決定されます。雇用主は、「算定基礎届(被保険者報酬月額算定基礎届)」を作成し、所定の期限内に所管の年金事務所および健康保険組合へ提出しなければなりません。
参考)日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」
随時改定(月額変更届)は、毎年定期的に提出する算定基礎届とは異なり、給与や手当などの固定的な賃金に大きな変動があった場合に標準報酬月額を見直すための手続きです。
月額変更届が適用されるのは、従業員の昇給や降給などで固定的賃金が変動し、その後3カ月間の報酬月額平均と現在の標準報酬月額に2等級以上の差が生じると見込まれる場合です。この場合、随時改定によって変更後の固定的賃金の報酬が発生した月から4カ月目以降の保険料が新たに決定されます。
参考)日本年金機構「随時改定(月額変更届)」
随時改定は、固定的賃金の変動が2等級以上の差を生じさせる場合に年の途中で行われます。しかし、この条件を満たさない小規模な変更や、残業手当などの変動的な手当の増減は反映されません。
そこで、年に一度の定時決定が必要です。定時決定では、随時改定の条件に関わらず、すべての報酬を考慮して標準報酬月額を見直します。これにより、実際の給与と標準報酬月額の間に大きなかい離が生じることを防ぎ、より正確な社会保険料の算定が可能です。
定時決定は毎年7月に行われ、4月から6月までの報酬を基に計算されます。この手続きにより、従業員の給与の実態に即した標準報酬月額が設定され、公平で適切な社会保険制度の運用が実現されます。
定時決定は、7月1日時点で雇用されており、社会保険に加入している全従業員と70歳以上の被用者を対象としています。この対象範囲は、一般的な勤務形態の従業員だけでなく、以下の従業員も含まれています。
次の4つの条件いずれかに該当する場合は、定時決定の対象外です。
これらの人については、直近の標準報酬月額がそのまま適用されます。また、8月あるいは9月に随時改定を予定していたものの、随時改定の要件に該当しないことが判明した場合には、速やかに算定基礎届を提出しなければなりません。
毎年6月頃、事業主に算定基礎届の書類が届きます。この中には、「算定基礎届」と「算定基礎届総括表」の2種類の書類が含まれます。提出期間は7月1日から10日まで、10日が土曜または日曜の場合は翌営業日までです。
提出先は、管轄の年金事務所もしくは事務センターです。ただし、健康保険組合に加入している事業主の場合、健康保険分は健康保険組合へ、厚生年金分は年金事務所へ別々に提出する必要があります。健康保険組合の提出期限は組合によって異なる場合があるため、事前の確認が重要です。期日までに提出がない場合、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることもあるため注意しましょう。
2020年4月からは、資本金1億円超の法人などに対し、労働保険・社会保険の一部手続きについて電子申請が義務化されました。算定基礎届もこの対象に含まれます。中小企業は義務ではありませんが、電子申請の利用は可能です。電子申請は、電子政府の総合窓口「e-Gov」を通じて行います。自社の給与システムや労務管理システムのデータを「e-Gov」に連携させることで、効率的に手続きできます。
参考)日本年金機構「電子申請・電子媒体申請(事業主・社会保険事務担当の方)」
定時決定は、社会保険制度の公平性と適切な運用を維持するための重要な手続きです。毎年1回、7月1日時点の全被保険者を対象に、4月から6月までの報酬を基に標準報酬月額を見直します。これにより、実際の給与と保険料のかい離を防ぎ、適切な社会保険料の算出が可能です。
定時決定の対象は、原則として7月1日時点で在職中の全従業員ですが、一部例外もあります。算定基礎届の作成と提出は、毎年7月1日から10日までの期間に行う必要があり、資本金1億円超の法人などでは電子申請が義務化されています。
この手続きは、随時改定では捉えきれない給与変動に対応し、より正確な保険料算定を図ることが目的です。定時決定を正しく理解し、適切に実施することで、社会保険料の適正な管理をしていきましょう。
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定時決定は、社会保険料を適正に算出するための手続きです。毎年行われるこの手続きは、従業員の実際の給与と標準報酬月額のかい離を防ぐために実施されます。本記事では、定時決定の必要性や対象者、算定基礎届の提出方法など、雇用主が知っておくべき重要なポイントを詳しく解説します。
目次
定時決定(算定基礎届)とは
定時決定とは、毎年9月から翌年8月までの1年間に適用される「標準報酬月額」を確定するための手続きです。健康保険・介護保険・厚生年金保険の社会保険料は、給与に応じて年に一度見直されます。
定時決定は、7月1日時点で雇用されている全従業員を対象に毎年7月上旬に実施し、4月・5月・6月の報酬から算出した標準報酬月額に基づいて社会保険料が決定されます。雇用主は、「算定基礎届(被保険者報酬月額算定基礎届)」を作成し、所定の期限内に所管の年金事務所および健康保険組合へ提出しなければなりません。
参考)日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」
随時改定(月額変更届)との違い
随時改定(月額変更届)は、毎年定期的に提出する算定基礎届とは異なり、給与や手当などの固定的な賃金に大きな変動があった場合に標準報酬月額を見直すための手続きです。
月額変更届が適用されるのは、従業員の昇給や降給などで固定的賃金が変動し、その後3カ月間の報酬月額平均と現在の標準報酬月額に2等級以上の差が生じると見込まれる場合です。この場合、随時改定によって変更後の固定的賃金の報酬が発生した月から4カ月目以降の保険料が新たに決定されます。
参考)日本年金機構「随時改定(月額変更届)」
定時決定の見直しが必要な理由
随時改定は、固定的賃金の変動が2等級以上の差を生じさせる場合に年の途中で行われます。しかし、この条件を満たさない小規模な変更や、残業手当などの変動的な手当の増減は反映されません。
そこで、年に一度の定時決定が必要です。定時決定では、随時改定の条件に関わらず、すべての報酬を考慮して標準報酬月額を見直します。これにより、実際の給与と標準報酬月額の間に大きなかい離が生じることを防ぎ、より正確な社会保険料の算定が可能です。
定時決定は毎年7月に行われ、4月から6月までの報酬を基に計算されます。この手続きにより、従業員の給与の実態に即した標準報酬月額が設定され、公平で適切な社会保険制度の運用が実現されます。
定時決定の対象となる従業員
定時決定は、7月1日時点で雇用されており、社会保険に加入している全従業員と70歳以上の被用者を対象としています。この対象範囲は、一般的な勤務形態の従業員だけでなく、以下の従業員も含まれています。
定時決定の対象外となる従業員
次の4つの条件いずれかに該当する場合は、定時決定の対象外です。
これらの人については、直近の標準報酬月額がそのまま適用されます。また、8月あるいは9月に随時改定を予定していたものの、随時改定の要件に該当しないことが判明した場合には、速やかに算定基礎届を提出しなければなりません。
算定基礎届の作成および提出方法
毎年6月頃、事業主に算定基礎届の書類が届きます。この中には、「算定基礎届」と「算定基礎届総括表」の2種類の書類が含まれます。提出期間は7月1日から10日まで、10日が土曜または日曜の場合は翌営業日までです。
提出先は、管轄の年金事務所もしくは事務センターです。ただし、健康保険組合に加入している事業主の場合、健康保険分は健康保険組合へ、厚生年金分は年金事務所へ別々に提出する必要があります。健康保険組合の提出期限は組合によって異なる場合があるため、事前の確認が重要です。期日までに提出がない場合、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることもあるため注意しましょう。
2020年4月からは、資本金1億円超の法人などに対し、労働保険・社会保険の一部手続きについて電子申請が義務化されました。算定基礎届もこの対象に含まれます。中小企業は義務ではありませんが、電子申請の利用は可能です。電子申請は、電子政府の総合窓口「e-Gov」を通じて行います。自社の給与システムや労務管理システムのデータを「e-Gov」に連携させることで、効率的に手続きできます。
参考)日本年金機構「電子申請・電子媒体申請(事業主・社会保険事務担当の方)」
定時決定まとめ
定時決定は、社会保険制度の公平性と適切な運用を維持するための重要な手続きです。毎年1回、7月1日時点の全被保険者を対象に、4月から6月までの報酬を基に標準報酬月額を見直します。これにより、実際の給与と保険料のかい離を防ぎ、適切な社会保険料の算出が可能です。
定時決定の対象は、原則として7月1日時点で在職中の全従業員ですが、一部例外もあります。算定基礎届の作成と提出は、毎年7月1日から10日までの期間に行う必要があり、資本金1億円超の法人などでは電子申請が義務化されています。
この手続きは、随時改定では捉えきれない給与変動に対応し、より正確な保険料算定を図ることが目的です。定時決定を正しく理解し、適切に実施することで、社会保険料の適正な管理をしていきましょう。