管理職は残業代が出ない?管理監督者と管理職の違いを解説

更新日:2024年05月21日

管理職の残業代

管理職になると残業代が出ないという話を聞いたことがある方もいるでしょう。この記事では、残業代が発生しない「管理監督者」の概要および、管理監督者かを見極める4つのポイントを解説します。残業の扱いに不明点がある方は、ぜひ参考にしてください。

目次

管理職には残業代が発生しない?

管理職になると、残業代を受け取れないと聞いたことがある方もいるでしょう。その理由としては、管理職は労働基準法41条における「監督もしくは管理の地位にある者」に該当し、労働時間および休憩、休日等の規定が適用されないことがあげられます。

しかし実は管理職であっても、残業代が支払われるケースがあります。残業代が発生しないのは、労働基準法上の「管理監督者」に該当する場合のみです。ここではまず、管理監督者の概要を確認しましょう。

参考:e-Gov法令検索「労働基準法」

残業代が発生しない「管理監督者」とは

労働基準法上における管理監督者とは、以下に該当する方をいいます。

  • 経営者と一体的な立場にあり、労働時間や休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有している
  • その地位にふさわしい待遇がなされている
  • 労働時間について厳格な規制がない

管理監督者は経営者に代わって同じ立場で仕事をするにあたり、管理監督および指揮命令に関する一定の権限を、経営者から委ねられています。そのため負う責任も多く、地位や定期給与、賞与等の面で一般社員とは異なる待遇がなされている点がポイントです。

また管理監督者は、時間や曜日に関わらず経営上の重要な判断や対応を求められることもあるため、出退勤時間を厳密に決めることはできません。勤務時間は管理監督者自身の裁量に任されていることから、管理監督者には残業代が発生しないのです。

「管理監督者」には深夜手当が支給される

管理監督者は残業代を受け取ることはできませんが、22時~翌日5時に就業したときには一般社員と同様に深夜残業の割増賃金(深夜手当)が支給されます。

労働時間に厳格な規制がないとはいえ、健康を害するほどの過重労働は許されません。労働が長時間に及ぶときには、労働安全衛生法に基づき医師による面接指導等の健康管理に係る措置が取られる場合もあります。

残業代が支払われない「名ばかり管理職」とは

名ばかり管理職とは、「管理職」の肩書があるだけで管理監督者が持つべき権限が一切ないにもかかわらず、残業代の支払いが行われない方を指します。

管理監督者は時間や曜日に関わらず、職務を遂行しなければならないケースがあります。管理監督者として相応の処遇を受けていれば、残業代や休日出勤手当が出ないことはそれほど大きな問題にはならないでしょう。

しかし名ばかり管理職の場合は、時間的な規制がなく仕事をしたうえに、相応の処遇を受けられません。そのため、総労働時間に対して低い給与や賞与しか給付されない状況になりがちです。管理職になったときには、管理監督者なのか名ばかり管理職なのかをしっかりと見極めましょう。

管理監督者か分かる4つのポイント

ここでは、管理監督者に当てはまるかを確認するために押さえておきたい4つのポイントを紹介します。先述のとおり管理職と呼ばれている方の中には、適切な権限の付与や待遇を得ていない名ばかり管理職の方もいます。

管理監督者と名ばかり管理職の違いを押さえ、勤務状況や職務内容に合った待遇の獲得を目指してください。

1.業務内容に重大な責任・権限がある

ポイントの1つ目は、管理監督者には業務内容に重大な責任と権限がある点です。具体的には、以下の権限を保有していることがあげられます。

  • 従業員の採用、解雇、人事考課、労働時間の管理
  • 労働環境の改善等を社長や経営陣に報告する権限

管理監督者は、一般社員が担当する業務を大幅に超えた重要な職務を担っていることが大きな特徴です。採用や労働時間の管理等を管理監督者自身の裁量で行っていることが重要で、単に上司や本部の指示を遂行している場合は、管理監督者とはいえません。

2.地位にふさわしい待遇を受けている

ポイントの2つ目は、地位にふさわしい待遇を受けている点です。具体的には、以下の優遇措置があげられます。

  • 基本給や役職手当等の優遇措置がある
  • 支払われた賃金の総額が一般社員よりも高い
  • 時間単価に換算した場合、一般社員よりも高い

管理監督者は、大きな権限を持つと同時にその責任も重大です。そのため、一般社員よりも職務負担が大きく、相応の待遇を受けるべきとされます。勤続年数や業績、専門職種等の特別な事情がある場合を除き、受け取る賃金額が一般社員と同程度もしくはそれ以下であれば、名ばかり管理職の可能性があります。

3.勤務態様に裁量がある

ポイントの3つ目は、勤務態様に裁量があることです。具体的には、以下の点を確認しましょう。

  • 遅刻・早退等に関する取り扱い
  • 労働時間に関する裁量
  • 一般社員の勤務態様との相違

管理監督者は、仕事の内容に合わせて自身の裁量で労働時間を決定できます。そのため、遅刻や早退等によって不利益を被ることはありません。それに対して、一般社員と同様に会社の規定にのっとった勤務態様が大半を占める場合は、名ばかり管理職の可能性があります。

4.重要な職務内容を有している

ポイントの4つ目は、重要な職務内容を有しているかです。管理監督者は経営者と一体的な立場で、労働時間や休憩、休日等に関する規制の枠を超えて重要な責任と権限を持ち職務を遂行するとされます。具体的には、ここまで解説したとおり労務管理上の指揮監督権限を有していることに加え、経営会議に参加するといった会社の経営方針や重要事項の決定への参画もあげられます。

名ばかり管理職には残業代を

上述の要件を満たさない従業員は、たとえ会社が役職を与えていても管理監督者とはならない「名ばかり管理職」、つまり実態として管理者ではありません。

法定労働時間を超えた労働に対しては残業代が発生します。残業手当を支給していなければ未払い残業代となり、従業員が法律事務所の弁護士に相談して会社へ請求…といった問題が発生してしまうかもしれないリスクがあります。賃金規程(給与規定)などで「管理職には残業代は支払わない」旨の取り決めをする方法だけでは解決しません。自社の管理職が、管理監督者に該当するのかを確認することが重要です。

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